スペースX スターシップ、テキサスで静止燃焼試験中に爆発事故

米テキサス州南部のスペースX発射拠点「スターベース」で、次世代宇宙船スターシップの試験中に爆発事故が発生した。現地時間6月18日夜、10回目の試験発射に向けた準備が進められていた最中に、機体が地上で炎上し巨大な火柱を上げた。

スペースX スターシップ、テキサスで静止燃焼試験中に爆発事故テキサス州スターベースで夜空に巨大な火柱を上げるスペースXスターシップの爆発事故(2025年6月18日)

キャメロン郡当局は19日(現地時間)、フェイスブックを通じて、スターベースで行われていた「静止燃焼(Static fire)」テストの最中に「スターシップ36」が「惨憺たる失敗」を起こして爆発したことを明らかにした。静止燃焼試験とは、ロケットを発射台に固定した状態でエンジンを順番に燃焼させるテストであり、打ち上げ前の重要な確認手順だ。AFP通信は当局の情報として、この火災による負傷者は報告されていないと伝えている。当局は現在、爆発と火災の原因について調査を進めている。

スペースXは、X(旧ツイッター)での声明で、スターシップが10回目の試験発射準備中に「重大な異常兆候(a major anomaly)」を見せたことを認めた。同社は、作動期間中、発射場周辺の安全区域が維持されており、すべての関係者の身元と安全確認が完了したと述べた。また、当局と協力して近隣地域の安全確保に取り組んでおり、地域社会への危険は全くないとしている。スペースXは復旧作業が行われる間、発射場への接近を自制するよう呼びかけた。これまでのところ、負傷者の報告はないことが改めて確認されており、非常プロトコルが迅速に実行されたと関係者は述べている。

イーロン・マスク氏は、2024年に最初の有人探査船を火星に送るという野心的な目標を掲げていたが、その後の相次ぐ試験発射の失敗により、計画は繰り返し延期されている。今年1月と3月に行われた7回目および8回目の試験飛行では、いずれもロケットが空中で爆発し、スペースXにとって大きな打撃となった。先月27日に実施された9回目の試験発射でも、搭載された模擬衛星が射出されずにインド洋に墜落・破損するという結果に終わっている。この際、宇宙船は打ち上げ直後に燃料漏れを起こし、制御不能な状態に陥ったと報じられていた。

マスク氏は先月29日、スペースXのウェブサイトで公開した動画の中で、スターシップの開発に関する詳細な日程について語っている。マスク氏は、スターシップが2026年末までに準備が完了する確率を50%と見積もった。もしその時期までに準備ができなければ、次の打上げ機会までさらに2年間待つ必要があると説明している。2026年末は、火星と地球が太陽の周回軌道上で最も接近する約3ヶ月前にあたり、この時期が宇宙船の打上げにとって最も効率的な窓となるためだ。このような最適な接近のタイミングは、火星の公転周期の関係で約2年ごとに発生する。米国航空宇宙局(NASA)によると、宇宙船で火星まで移動するには通常7~9ヶ月を要する。

火星への最初の飛行には、テスラが開発したヒューマノイドロボット「オプティマス」型の模擬乗組員が搭乗する計画だと、マスク氏は説明した。続く2回目または3回目の飛行で、最初の人間乗組員を乗せることを目指している。NASAもまた、2027年初頭にスターシップを使用して人間を再び月面に着陸させることを目標としている。さらに、NASAの最終的な目標は、2030年代に宇宙飛行士を火星へ送ることである。

今回のスターシップの爆発事故は、スペースXが火星や月を目指す長期計画を進める上で、依然として技術的な課題に直面していることを示している。相次ぐ試験の遅延や失敗は、マスク氏の掲げる目標達成の時期に影響を与える可能性が高い。しかし、スペースXは失敗から学び、設計や運用を改善していくアプローチを続けており、今後の開発の進捗が注目される。

出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/5d77bb5b1eda4775199ad5c39325c66b243d29a2