国土交通省は17日、「トラック運送業における多重下請構造検討会」を開催し、取りまとめを行った。トラック運送事業者、利用運送事業者などの事業形態を問わず、トラック運送の委託や仲介・取次の過程で手数料の「中抜き」が繰り返されることを問題視し、法令上のカテゴリーを再整理して必要な措置を検討することなどを提言した。また利用運送事業者が仲介・取次により単に中抜きすることなどを防ぐため、規制を検討すべきとした。
国交省が取りまとめ案を示し、委員の了承を得た。内容は今月、議員立法により成立した「トラック事業適正化関連法」(改正貨物自動車運送事業法〈トラック法〉・体制整備推進法)を受けたものとなっている。新法はトラック運送事業の許可更新制導入や委託回数の制限、適正原価を定めることを柱としている。取りまとめ案は、新法の着実な施行とその後の状況のフォローアップ、必要に応じてさらなる措置の検討を求めた。
改正物流2法による契約書面の書面化や実運送体制管理簿の作成義務付けはトラック運送事業者だけを対象としているが、実態としては利用運送事業者などによるものも含めた委託や仲介・取次の境目があいまいになっているという。このため、実際に行っている行為や担っている運送責任の重さに応じて法令上のカテゴリーを再整理する検討も、必要とした。
利用運送については、自ら責任をもって運送をコーディネートするのではなく、単に案件を他社に委託したり、仲介・取次のみを行って手数料を収受するケースも少なくない。そこで、登録事業者の実態も踏まえ、あるべき規制の在り方について検討すべきとした。
また、貨物とトラックのマッチングサービスに期待を示し、望ましいサービスが市場で選択される環境を整備する必要があるともしている。
検討会は学識者を交えて多重下請け構造の是正に向けた対策を検討するため、昨年8月から計4回開かれた。オブザーバーとして国際フレイトフォワーダーズ協会(JIFFA)、航空貨物運送協会(JAFA)なども参加した。