兵庫県の斎藤元彦知事が、昨秋の知事選挙で選挙運動の対価としてPR会社に約70万円を支払ったとされる問題で、兵庫県警は2025年6月20日、斎藤知事を公職選挙法違反(買収)の疑いで書類送検した。斎藤知事は、これに先立つ1週間前の13日にも、プロ野球の優勝パレードを巡る背任の疑いで書類送検されており、二度にわたる書類送検となった。同日、斎藤知事は記者団に対し、自身の選挙活動について「公選法を含め、適法にしてきたという認識に変わりありません」と述べ、改めて適法性を主張した。
2024年の兵庫県知事選挙での斎藤元彦氏
問題発覚の経緯とPR会社の「note」記事
この問題は、斎藤知事の再選直後の2024年11月20日、兵庫県西宮市のPR会社「merchu(メルチュ)」の折田楓社長が投稿プラットフォーム「note」に公開した記事が発端となった。折田氏は斎藤知事との2ショット写真を掲載し、「兵庫県知事選挙における戦略的広報:『#さいとう元知事がんばれ』を『#さいとう元彦知事がんばれ』に」というタイトルで記事を投稿。
記事の中で折田氏は、「ご本⼈は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました」「監修者として、運⽤戦略⽴案、アカウントの⽴ち上げ、プロフィール作成などを責任を持って⾏い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用してきました」と記し、「種まき」「育成」「収穫」のフェーズに分けた具体的な広報戦略の内容を紹介していた。また、選挙戦を「『選挙は広報の総合格闘技』…質・量・スピード全てが求められ、⾷べる暇も寝る暇もない程、最もハードでした」と振り返った。
ネット上の反響と関係者の釈明
折田氏のnote記事公開直後から、インターネット上では「記事の内容は公職選挙法違反にあたるのでは」「有権者の心理をゲームのように弄んだ」といった声が上がり、問題視されるようになった。
これに対し、折田氏は後に「ボランティアとして個人として参加したと認識している」と釈明。斎藤知事も定例記者会見で、当該の記事について「事前に一切見てないし、聞いていない」「若干の戸惑いもある」と述べ、記事の内容に事前に知らされていなかったことを強調した。
斎藤知事の代理人を務める弁護士は、noteの記事について「事実である部分と事実で全くない部分が記載されている。特に、広報全般を任せたという部分は事実ではない。そういう意味で盛っているのか、盛っていないのかで言うと、盛っているという認識」と説明。その上で、斎藤陣営からPR会社に対し、知事選に関するデザイン制作費として約70万円の支払いがあったことを認めつつも、この支出は適法なものであったと主張している。
まとめ
兵庫県警は、兵庫県知事選挙における選挙運動費用を巡る問題で、斎藤元彦知事を公職選挙法違反(買収)の疑いで書類送検した。この問題は、選挙後にPR会社社長が公開した記事によって表面化し、ネット上で議論を呼んだ。斎藤知事側はPR会社への支払いは適法なデザイン制作費であり、記事の内容には事実誤認があると主張している。今回の書類送検により、今後は検察が起訴するかどうかを判断することになる。
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