トヨタ自動車、米国で7月1日から値上げへ 平均270ドル

トヨタ自動車は、米国市場での車両価格を7月1日より引き上げると発表しました。これは「通常の価格改定」と位置づけられていますが、背景には市場環境や競合の動向など複数の要因がある模様です。トヨタは今回の米国での値上げが、トランプ米政権による自動車関税の影響による直接的なものではないと説明しています。

値上げの背景とトヨタの説明

トヨタ広報担当者は、今回の価格改定について「商品性に加え、市場や競合他社の動向を踏まえて決定した」と説明し、自動車関税による直接的な影響を否定しました。これは、以前に同社の宮崎洋一副社長が関税を理由にした「短期的な値上げという場当たり的な対応は取らない」と述べていた方針と整合するものです。トヨタは、コスト上昇分を吸収するため、当面は原価低減などの努力で対応するとしていました。

具体的な値上げ幅と納車費用

値上げの対象となるのは、「トヨタ」ブランド車と高級車ブランド「レクサス」車です。「トヨタ」ブランド車のメーカー希望小売価格は平均270ドル(約3万9000円)引き上げられます。一方、「レクサス」ブランド車は平均208ドル(約3万円)の値上げとなります。

さらに、全車種にかかる納車費用も見直され、6月16日から値上げが実施されています。「トヨタ」車の納車費用は平均71ドル(約1万円)、レクサス車の納車費用は平均108ドル(約1万5000円)それぞれ引き上げられます。

トヨタ自動車の車両イメージ(米国市場での価格改定に関連)トヨタ自動車の車両イメージ(米国市場での価格改定に関連)

過去の方針と関税の影響試算

トヨタはこれまで、米国が導入した自動車関税によるコスト上昇分について、当面は原価低減などの努力で吸収する方針を示していました。しかし、米国が4月から上乗せした25%の自動車関税の影響は避けられず、トヨタは今年度の業績への影響を試算しています。その試算によると、5月および6月分の関税だけで、連結営業利益が1800億円押し下げられる見込みです。

他社も相次ぎ値上げ

米国市場では、トヨタだけでなく他の自動車メーカーもすでに値上げに踏み切っています。米フォード・モーターは5月にメキシコで生産した一部車種の価格を最大2000ドル引き上げる方針を表明しました。日本の自動車メーカーでは、SUBARUが6月から複数モデルで値上げを実施しています。また、三菱自動車も現地時間の6月18日から米国で平均2.1%の価格引き上げを行いました。これは、市場全体のコスト増や競争環境の変化に対応する動きと言えます。

自動車業界全体がコスト上昇や市場変化に直面する中、トヨタ自動車の米国市場における今回の値上げは、他のメーカーの動向とも連動する形で実施されました。公式には「通常の価格改定」とされていますが、米国自動車関税などの外部環境の変化が、長期的な価格戦略に影響を与え始めている可能性も示唆されます。今後の市場の反応と、各社のさらなる対応が注目されます。