アメリカのトランプ大統領は現地時間6月21日夜、イランの核施設3カ所を攻撃したと発表した。この攻撃は、イスラエルによるイラン攻撃に加わる形で行われ、アメリカがイランと続けてきた核開発をめぐる外交交渉を台無しにする結果となった。しかし、トランプ氏は約4分の短い演説の中で「劇的な成功だった」と自らを称賛した。
さらに、次のように述べて追加攻撃をほのめかし、和平を結ぶようイランに迫った。「中東のいじめっ子であるイランは、今こそ和平を結ばなければならない。そうしなければ、今後の攻撃はもっと大規模で容易になるだろう」「この状況を続けることはできない。イランにとって、今後は平和か、あるいは我々が目にしてきたものをはるかに超える悲劇になるかのどちらかになる」一方、トランプ氏は攻撃決定の理由や具体的な戦略、緊張緩和策については具体的に触れなかった。また、「神に感謝したい。神よ、愛しています」など、宗教的な発言もあった。
ドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスでイランへの軍事攻撃を発表する様子
攻撃の影響と専門家の見解
トランプ氏は攻撃を「劇的な成功だった」と称賛したが、専門家からは、イランに地上部隊を派遣するか、もしくは国際調査チームの現地査察を行わなければ、イランの核能力にどれほどの打撃を与えたのかを評価するのは極めて困難だと指摘する声が上がっている。しかし、今回のアメリカによる攻撃で、対話を通じた調査団派遣はほぼ困難となった。
ロサンゼルスで発生した、米国のイラン戦争参加への抗議デモの様子
さらに、イランが報復すれば、アメリカが攻撃を拡大させ、事態が一層悪化する恐れがある。早稲田大学国際教養学部のアブドゥラ・バーブード訪問教授は、今回の攻撃の前にハフポストUS版の取材に対し、「たとえ限定的であっても、アメリカの攻撃はほぼ確実に報復を招くでしょう。単に象徴的なものではなく、事態をエスカレートさせる」と語っていた。
今回の攻撃は、トランプ政権がイスラエルを全面的に支持する姿勢を改めて明確にした。トランプ氏は演説の中でネタニヤフ氏の名前を挙げ、「アメリカとイスラエルはチームとして動いた」「中東に神の祝福を。イスラエルに神の祝福を」とコメントした。今回の攻撃や発言は、トランプ氏の核合意に向けた外交努力が本気ではなかったとイラン側に受け止められる可能性がある。
結論
トランプ大統領によるイラン核施設への攻撃発表は、「劇的な成功」と主張される一方で、専門家からは事態悪化や外交の行き詰まりを懸念する声が上がっている。特に、イスラエルとの連携を強調した今回の軍事行動は、核開発を巡る対話の道を一層遠ざけ、中東情勢の不確実性を高めている。
参考文献
出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/7126830f58d87200680b866bdf32d6dbbc02bf63