イラン中部フォルドゥにある核施設に対し、米軍が12月22日(現地時間)に地下貫通型の大型爆弾「バンカーバスター」を投下したとみられる攻撃で、約25キロメートル離れた地点でも爆発音が確認された。住民の証言により、この爆弾の持つ威力が改めて浮き彫りになっている。
遠方で響いた爆発音
フォルドゥにあるウラン濃縮施設の西方に位置する小さな村で衣料品店を営む43歳の男性は、読売新聞の電話取材に応じ、12月22日午前3時頃、自宅で就寝中に複数回の爆発音を聞き、目が覚めたと語った。核施設は以前にもイスラエル軍からの攻撃を受けていたため、男性は当初「防空システムが作動した音かと思った」と話している。施設から約25キロ離れているため、爆発音は耳を覆うほど大きなものではなく、男性はその後再び眠りについたという。
他地域からの証言
核施設から北に約50キロ離れたコム市に住む38歳の男性教員は、市内の同僚から同様の話を聞いた。同僚によると、同日午前2時半から3時頃にかけて、「小さな爆発音が複数回あった」という。この同僚も、その音がフォルドゥの核施設への攻撃によるものだとは思い至らなかったと述べている。これらの証言は、爆発が広範囲に影響を及ぼしつつも、距離によっては認識されにくい性質のものであったことを示唆する。
イラン・フォルドゥ核施設への米軍バンカーバスター攻撃後、衛星写真が捉えた破壊状況(クレーターとみられる穴)
衛星写真が示す被害状況
一方、米CNNは12月22日、フォルドゥ核施設の複数の衛星写真を独自に分析した結果を報じた。攻撃前日の20日に撮影された写真と比較すると、地下深くに位置するとされる核施設の上部とみられるエリアに、2か所それぞれに三つずつ、合計六つの着弾痕とみられる穴が開いていることが確認されたという。さらに、周辺の一部の建物が消失していたり、地下トンネルの入り口部分が損傷していたりする被害も視認できたと指摘している。地元イランメディアは12月22日深夜の時点では、これらの被害状況について具体的に伝えていない。
今回の米軍によるフォルドゥ核施設への攻撃は、使用されたバンカーバスターの地下への貫通能力と破壊力の高さを、遠距離での爆発音や衛星写真による被害状況から示唆している。イランの核開発を巡る情勢は引き続き注視が必要である。