トランプ米大統領は21日、イランの核施設3カ所への攻撃に踏み切った。19日に攻撃の可否判断を「2週間以内」と示唆したばかりだったが、発言よりも早く実行に移し、世界を驚かせた。
トランプ氏がイランの地下核施設への攻撃を検討していると報じられる中、ホワイトハウスのレビット報道官は19日の記者会見で声明を読み上げた。「『実現するかどうかは別として、イランと近い将来に交渉するチャンスが十分あるという事実を踏まえ、私は2週間以内に進むかどうか決断する』。これは大統領からの声明だ」。これは攻撃を示唆しつつも、外交による事態打開の余地を残すものだった。
ホワイトハウスでイラン攻撃について語るトランプ大統領(2025年6月21日撮影、AP通信)
予告より早い攻撃実行
しかし、トランプ氏はわずか2日後の21日夜、自身のソーシャルメディアへの投稿で、米軍がイランを攻撃したと発表した。直後の演説では「すばらしい軍事的成功を収めた」と胸を張った。この迅速な実行は、これまでのトランプ氏の言動パターンとは異なるものだった。
トランプ氏の常とう手段「2週間」
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、トランプ氏はイランを攻撃すると決めつけず、不確実性を残すために「2週間以内」という期限を持ち出したとされる。しかし、翌20日には我慢の限界に近づいていたという。「2週間」の期限設定は、トランプ氏の常とう手段と言える。米NBCニュースによると、過去2カ月間に少なくとも13回使われており、全世界を対象に課した「相互関税」など関税・貿易交渉や、ロシアのウクライナ侵攻に関する発言が大半だった。しかし、発言内容の大半は実現せず、NBCは「予測の多くは実現せず、質問にも未回答だ」と指摘する。
日本への潜在的影響
日本も関税や安全保障を巡って今後もトランプ氏と交渉を続けることになるが、今回のように「2週間」といった発言に振り回される場面が出てくる可能性がありそうだ。
まとめ
今回のイラン核施設攻撃は、トランプ氏が多用する「2週間」という期限設定が、必ずしも外交的な時間稼ぎやあいまいさだけでなく、時に予測不能な迅速な行動につながることを示した。その発言の信ぴょう性は常に問われるが、実行された際の世界への影響は大きい。今後の国際交渉では、その言葉と行動のずれに注意が必要となるだろう。
参考資料
ウォール・ストリート・ジャーナル、NBCニュース、AP通信 など