国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は23日、米軍のイラン核施設攻撃を受けた緊急会合での報告で、イラン中部フォルドゥのウラン濃縮施設で「重大な損傷が出たと予想される」と述べた。
【写真まとめ】重さ13トン 米軍が使用したとみられる地下貫通弾
フォルドゥには地下深くにウラン濃縮施設がある。米軍のB2ステルス爆撃機は現地時間22日、最新のバンカーバスター(地下貫通弾)で空爆した。
グロッシ氏はフォルドゥの被害状況について「クレーターが確認できた。地下貫通弾が使用されたとみられ、米国の発表内容と整合性がある」と指摘。地下施設の損傷の全容は分からないと前置きしたうえで「使用された爆発物の量と、振動に弱い遠心分離機の性質を考慮に入れると、かなりの損傷が出たと予想される」と指摘した。
グロッシ氏によると、イラン中部ナタンツのウラン濃縮施設でも、米軍の地下貫通弾によるとみられる被害が確認された。巡航ミサイルで攻撃された中部イスファハンでは、ウラン転換施設が損傷を受け、濃縮ウランの貯蔵施設につながるトンネルの入り口も被害を受けた模様だという。
また、イラン当局はIAEAに対して、米軍の攻撃を受けた3カ所の核施設で、施設外での放射線レベルの上昇は確認されていないと報告した。【ベルリン五十嵐朋子】