フランスのパリ・ディズニーランドで、9歳の少女のために豪華な「結婚式」イベントが開催されましたが、児童虐待の疑いにより関係者の通報で中断されました。この出来事は、単なる結婚式ではなく、SNS投稿を目的とした動画撮影のための偽装イベントだったことが明らかになっています。
イベント詳細
現地時間21日午前、約100人のゲストが出席する中、パリ・ディズニーランドの一部を借り切り、結婚式のような催しが行われました。イベントの主役はウエディングドレスを着た9歳の少女で、慣れないハイヒールに立つのも困難なほどふらつく様子が見られたといいます。これは少女の母親(41)が「お姫様のような一日を娘にプレゼントしたい」という依頼で企画されたもので、出席者は報酬を得て動員されたエキストラでした。撮影された動画はSNSでの公開が目的とされていました。このイベントのためにパリ・ディズニーランドを予約したのは数週間前で、賃貸料は13万ユーロ(約2200万円)にも達したと報じられています。
パリ・ディズニーランドの外観、今回イベントが開催された場所
通報とイベント中断
この異常なイベントが明るみに出たのは、1万2000ユーロを受け取って「花嫁の父」役を務めることになっていたラトビア出身の男性(55)が、主役が子どもであることに不審を抱き、施設側に通報したためです。通報を受けたディズニーランドの関係者は、イベントを即座に中断させました。そして、不法な児童結婚や児童虐待・搾取の可能性が懸念されるとして、当局に事態を報告しました。
当局の捜査と結果
当局は通報を受け、イベントの主役だった少女の母親、「花嫁の姉」役のラトビア人女性(24)、通報者の男性、そして今回のイベント準備を総括した「花婿」役のイギリス人男性(39)の計4人を逮捕しました。しかし、その後の捜査で児童虐待やその他の疑惑点は見当たらないと判断され、母親と通報者の男性の2人は無嫌疑として釈放されています。捜査過程では、9歳の少女の身体状態に関する検診も行われました。
一方、「花嫁の姉」役の女性とイギリス人男性については、イベントが本物の結婚式であるかのようにディズニーランド側を欺くため、虚偽の書類を提出した詐欺容疑などで捜査が継続されています。特にイギリス人男性は、フランス検察によると、本国イギリスで過去に未成年者に対する性犯罪で有罪判決を受けており、イギリスの性犯罪者登録簿上の義務に違反した容疑で現在手配中とのことです。なお、少女とその母親はウクライナ国籍で、イベントのわずか2日前にフランスに入国したと当局は説明しています。
今回の騒動は、SNSでの注目を集める目的のイベントが、関係者の行動と当局の児童保護への懸念により予期せぬ形で中止された事例です。一部容疑者に対する捜査は続いており、今後の展開が注目されています。