キュレル、日本市場での独走を経て欧州本格攻勢へ 乾燥性敏感肌向けスキンケアが世界展開を加速

乾燥性敏感肌向けスキンケアブランド「キュレル(CUREL)」が、日本国内で揺るぎない地位を確立し、その勢いを駆って欧州市場への本格的な進出を図っている。花王が展開する同ブランドは、2024年の敏感肌用化粧品市場で売上No.1を達成し(インテージSRI+調べ)、2025年上半期には過去最高シェアを記録するなど、目覚ましい成長を続けている。

国内での圧倒的な強さと成長戦略

「キュレル」の直近の売上高は年平均28%増と高い成長率を示しており、今後もその勢いは続く見込みだ。2024年から2027年にかけては年平均成長率(CAGR)8%を目指し、2030年には現在の売上から1.3倍への拡大を計画している。これは、国内市場での強固な基盤と、積極的な海外展開によるものと考えられる。

新製品の成功も国内での好調を後押ししている。特に、2024年4月発売の保湿クリーム「潤浸保湿 パウダーバーム」と、2025年2月発売のUV化粧下地「潤浸保湿 ファンデ負担防止ベース」は好調に推移し、口コミやSNSで大きな話題を呼んだ。これらのヒット製品が、ブランド全体の成長に貢献している。

キュレル 潤浸保湿シリーズの製品画像(乾燥性敏感肌向け化粧品)キュレル 潤浸保湿シリーズの製品画像(乾燥性敏感肌向け化粧品)

世界市場とグローバル展開への挑戦

国内での成功を追い風に、「キュレル」はすでに世界の市場に目を向けている。世界の敏感肌向けスキンケア市場は3兆1600億円規模にまで拡大しており、米国(9100億円)、中国(6600億円)、欧州(6300億円)、日本(1600億円)、アジア9カ国(1500億円)、カナダ(1040億円)など、各地域で需要が高まっている状況だ。

「キュレル」は現在、世界12の国・地域で展開しており、近年はイギリス、フランス、ドイツ、アメリカなどへの進出を果たしている。地域ごとの気候やユーザーのニーズに合わせて製品提案を最適化しつつ、「乾燥性敏感肌の内部からの肌質改善」というブランドの核となるコンセプトは維持している。これにより、人種、性別、ライフステージを問わず、幅広い層の敏感肌の悩みに対応することを目指している。特に、欧州市場は「新たな挑戦」と位置づけており、ECサイトやドラッグストアでの展開を積極的に進める方針だ。

現在3割である海外売上比率を、2030年までに5割に引き上げることを目標として掲げており、国内外での成長を両輪とすることで、グローバルブランドとしての地位を確立する構えだ。

炭酸技術を活用した新製品で市場を牽引

欧州をはじめとする海外展開も見据え、「キュレル」は革新的な製品開発にも力を入れている。2024年9月6日には、花王が長年研究開発を進めてきた炭酸技術を活用したスキンケア製品2品を発売する予定だ。この炭酸技術の応用は10年以上の構想期間を経て実現したものであり、敏感肌市場に新たな提案をもたらすことが期待されている。

「キュレル」は、日本で培った強みと実績を基盤に、グローバル市場での存在感をさらに高めようとしている。特に欧州市場での成功が、今後の世界展開を左右する重要な鍵となるだろう。

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