「24時間テレビ」のチャリティー募金着服問題で、業務上横領罪に問われた日本海テレビ元経営戦略局局長・田村昌宏被告の第2回公判が6月20日、鳥取地方裁判所にて開かれた。前回第1回公判では、着服した金銭は生活費や飲食代、スロット代などに使用したことが取調べ調書の内容などから明かされていた。しかし、今回の公判で被告本人からこれらを否定し、「募金額をコントロールするために着服と補填を繰り返した」という驚きの主張がなされた。公判の最後には、日本海テレビ代表者による田村被告を断じる「怒りの陳述書」が読み上げられた。
「パーセント達成の使命感が強かった」
田村被告は、自身の口座にチャリティー募金10万5000円を入金したとされる行為について、会社の経理業務を管轄する立場を利用し、募金額の「前年比」を調整するために着服と補填を繰り返していたと主張した。募金会場で多くの善意を目の当たりにしてきた経験にも触れた上で、検察官からの「横領時、そういう方(募金をする一般の方)の気持ちを踏みにじっているという気持ちは」との問いに対し、「それよりも、(前年比の)パーセントを達成するという使命感の方が強かった」と供述した。
消えた管理記録と証拠の行方
被告は、会社からの横領額をエクセルシートで、チャリティー募金の着服・補填については手帳に付箋を付けて金の出入りを管理していたと主張。しかし、社内調査が入った際にエクセルシートは削除し、チャリティー募金の管理に使ったという手帳は警察に提出、付箋は捨てたため、手元に物証はないという。裁判官から付箋を捨てた時期や理由を問われると、社内調査が終わった年の年末に「大掃除しようかなと思った時に何の気なしに」捨てたと述べた。社内調査時にも付箋を提出しなかった理由については、当時パニックになっていたためと弁明したが、証拠がない状況では主張の説得力が問われることとなった。
今年の「24時間テレビ」公式サイト。募金着服問題を受け、キャッシュレス募金などがPRされている模様。
約500万円とされる着服額と、被告の新たな主張に対し、公判の最後には日本海テレビ代表者による「怒りの陳述書」が読み上げられた。今回の第2回公判では、これまでの個人的な遊興費への着服という見方とは異なる、「前年比達成」という社内目標が事件の背景にどのように影響していたのかという新たな論点が示された形となった。
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