【AFP=時事】キルギス議会は25日、ロシア語よりもキルギス語の使用を強化する法案を可決した。これは、ウクライナ侵攻により中央アジア全域でロシアの影響力が低下していることを受けての措置。
ロシアが2022年2月に同国が勢力圏の一部と見なす旧ソ連構成国ウクライナへの全面侵攻を開始して以来、中央アジアの旧ソ連5か国(キルギス、ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)は、自国のナショナル・アイデンティティー(国への帰属意識)を強化する措置を講じてきた。
法案では、テレビやラジオはコンテンツの少なくとも60%をキルギス語で放送し、地名はキルギス語で表記されなければならない。広告では、キルギス語の表記がロシア語よりも大きく表示されなければならない。
キルギスの人口700万人のうち約80%がロシア語を話し、日常会話ではロシア語が広く使われている。
キルギス議会のヌルランベク・トゥルグンベク・ウル議長は、「キルギス語にこれほど無関心であれば、近い将来、私たちは国民国家ではなくなるだろう」と述べた。
これらの措置では、裁判官、検察官、選出議員を含む公務員・公職者にもキルギス語の堪能さが求められている。
一部の議員は、多くの公務員がキルギス語を十分に理解しておらず、議会でも人員不足の問題が生じる恐れがあると懸念を表明した。
キルギスでは、キルギス語が国語、ロシア語は公用語となっている。
中央アジアでは、ロシア語を話せることが依然として高い社会的地位と結び付いている。
だが、ロシアがウクライナ東部のロシア系住民とロシア語話者を保護するためなどと主張してウクライナに侵攻したことで、中央アジアの指導者たちは懸念を抱いている。
ロシアの政治家の一部は、中央アジア諸国のナショナル・アイデンティティーを強化する試みを、同盟国と距離を置こうとしていると批判している。【翻訳編集】 AFPBB News