「朝だるい」や寝起きの不調、原因は夜間低血糖かもしれない理由

十分に寝たはずなのに朝、体がだるく疲れが取れていない。そんな「朝だるい」経験、ありませんか?これは睡眠中に血糖値が急低下する「夜間低血糖」が関わっている可能性があります。夜間低血糖は睡眠の質を下げ、疲労が翌朝のだるさにつながることも。本記事では、この現象と朝の不調の関連を専門家が解説します。

朝、寝起きにだるさや疲労を感じる様子のイメージ画像。「夜間低血糖」が原因の可能性を示す。朝、寝起きにだるさや疲労を感じる様子のイメージ画像。「夜間低血糖」が原因の可能性を示す。

血糖値とは?夜間低血糖のメカニズム

血糖値とは、血液中のブドウ糖(グルコース)濃度です。食品に含まれる炭水化物は体内でグルコースに分解され、小腸で吸収された後、血液によって全身に運ばれてエネルギー源となります。健康な人の場合、血糖値は膵臓から分泌されるインスリンなどのホルモンによって常に一定の範囲に保たれています。しかし、このコントロールがうまくいかない場合に、血糖値が正常範囲より低くなる「低血糖」が起こることがあります。その一つが、睡眠中に起こる「夜間低血糖」です。

みぞぐちクリニック院長の溝口徹氏は、夜間低血糖の引き金として「血糖値スパイク」を挙げます。血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急激に上昇した後、今度は急激に降下する現象です。特に夕食後に血糖値スパイクが起こると、その後の睡眠中に夜間低血糖を引き起こしやすくなります。溝口氏は、「“血糖値が急降下”すること」が問題であり、「健康な人でも血糖値のコントロールは大事。特に血糖値スパイクによる低血糖が夜寝ている間に起これば、さまざまな健康問題につながる」と強調しています。

もしかして?夜間低血糖セルフチェックリスト

自身が夜間低血糖の可能性があるかを知るために、専門家はいくつかの項目をチェックすることを推奨しています。以下のリストに当てはまる項目が一つでもある場合、血糖値スパイクやそれに続く夜間低血糖が起きている可能性が考えられます。

夜間低血糖の可能性を示すセルフチェック項目リスト。寝汗や悪夢など。夜間低血糖の可能性を示すセルフチェック項目リスト。寝汗や悪夢など。

チェックリストの内容は、具体的な体のサインや睡眠中の異変に焦点を当てています。これらに気づくことが、潜在的な夜間低血糖の発見につながる第一歩となります。

なぜ寝汗や悪夢?夜間低血糖時の体の反応

低血糖状態に陥ると、体は血糖値を上げようとします。この防御反応として、アドレナリンなどのホルモンが分泌され、交感神経が優位になります。交感神経は、体を活動的・興奮状態にする役割を担っており、車でいうとエンジンのようなものです。通常、睡眠中は副交感神経が優位になり、体がリラックスして休息していますが、低血糖によるアドレナリン分泌で交感神経が活性化すると、脳は眠っていても体は「戦闘モード」のような状態になります。

睡眠中の夜間低血糖が寝汗や悪夢などを引き起こすメカニズム図。睡眠中の夜間低血糖が寝汗や悪夢などを引き起こすメカニズム図。

この交感神経優位な状態が、寝汗をかいたり、心拍数が上がったり、悪夢を見たりといった睡眠中の様々な不調として現れるのです。睡眠時間自体は確保できていても、睡眠の質が損なわれるため、結果として朝起きた時にだるさや疲労感が残ってしまいます。

朝のだるさや寝起きの不調は、単なる睡眠時間不足だけでなく、夜間低血糖が原因である可能性も考えられます。特に夕食後の血糖値スパイクが、夜間の低血糖を引き起こす引き金となり得ます。ご紹介したチェックリストに心当たりがある場合は、血糖値の変動や睡眠の質について改めて意識してみる価値があるでしょう。

出典:Yahoo!ニュース / 東洋経済オンライン