早稲田中学、東大合格者数30名 なぜ早慶系属校で異色の進学実績?

中学受験を検討する親御さんにとって、根強い人気を誇るのが早慶の附属・系属校です。しかし、その中でも異色の存在として注目されているのが、例年、多くの東大合格者を輩出している早稲田中学校・高等学校です。今回は、この早稲田中学校の独特な立ち位置とその魅力について深掘りします。教育投資ジャーナリストの戦記氏が解説します。

早慶附属・系属校リストと早稲田中学の異色性

中学受験において早慶の附属校(大学と同じ法人が経営)や系属校(別法人にて経営)は、安定した進学先として人気を集めています。主な学校は以下の通りです。

早稲田附属校
早稲田大学高等学院中学部・高等学院
早稲田大学本庄高等学院

早稲田系属校
早稲田実業初等部・中等部・高等部
早稲田中学校・高等学校
早稲田渋谷シンガポール校
早稲田大阪高等学校
早稲田佐賀中学校・高等学校

慶應義塾大学附属校(中学から高校へのルートが複数あるため高校基準)
慶應義塾高校
慶應義塾女子高校
慶應義塾湘南藤沢高等部
慶應義塾志木高校
慶應義塾ニューヨーク学院

これらの早慶附属・系属校の中で、早稲田中学校は際立った「異端児」と言えます。多くの生徒が早稲田大学への内部進学を目指す他の附属・系属校とは異なり、早稲田中学は全国有数の東大合格実績を誇る進学校としての側面が非常に強いのです。2025年には30名の東大合格者を輩出し、これは全国20位に相当する実績です。さらに、2023年1月には、首都圏の難関校に強い進学塾として知られる鉄緑会の指定校にも突然格上げされました(15校目)。

ジャーナリスト戦記氏が見る早稲田中学の教育哲学

教育投資ジャーナリストの戦記氏は、早稲田中学のこの独特な立ち位置に注目しています。同氏の分析によれば、早稲田中学は伝統校的な雰囲気を色濃く持ち、先生方にも早稲田中学OBが多いのが特徴です。

学校の教育哲学としては、「中学3年間はクラブや委員会に積極的に参加し、自宅では毎日英語・数学を1時間ずつ復習と宿題をやれば塾は不要」という考え方が根底にあるとされています。この教育方針は、外部の進学塾に頼らずとも学校の指導だけで学力が定着するという自信の表れと言えるでしょう。一方で、鉄緑会指定校への格上げに対しては、学校の哲学とは異なる方向性として捉え、「良い迷惑と考える層もいる」との見解も示されています。

また、早稲田中学から東大を目指す生徒像についても言及されています。戦記氏は、彼らを「目の前にある叙々苑には目を向けず、ウルフギャングのTボーンを目指す強い自制心を持つ求道者たち」と表現しています。これは、目の前の早稲田大学への進学という魅力的な選択肢がありながらも、より高い目標である東大を目指して努力を続けられる、強い意志を持った生徒が多いことを示唆しています。

学業に励む生徒を象徴する積まれた本学業に励む生徒を象徴する積まれた本

早稲田中学のこうした教育環境と生徒たちの高い目標意識が、早慶系属校でありながらも高い東大合格実績を出すという異色の結果に結びついていると考えられます。

まとめ

早慶の附属・系属校は本来、大学への内部進学を主眼に置いた学校群です。しかし、早稲田中学校は、その中にあって高い東大合格者数を輩出し、鉄緑会指定校にも選ばれるなど、独自の道を歩む「異端児」としての存在感を放っています。伝統的な教育哲学に基づきながらも、生徒一人ひとりが高い目標を持って学業に励む環境が、このような特徴的な進学実績を生み出していると言えるでしょう。

出典:みんかぶプレミアム特集「名門校の真価」