平成24年12月の笹子トンネルの天井板崩落事故で次女の友梨さん=当時(28)=を亡くした石川佳子さん(61)は、遺品を手に取るたびに実感する。「原因は何なのか」。事故から7年間、問い続けてきたが、今も答えはない。
車から見つかった焦げ一つない友梨さんの名刺は仏壇に保管している。3時間以上火に包まれていたはずで、鑑識からは、状態の良さは説明が付かないと言われた。「家族が『友梨は現場におらず、どこかで生きているかも』と思わないように、メッセージを残してくれた」と語る。
7年間で中日本高速道路の弔問は80回以上。会いたくない気持ちもあったが受け入れ続けた。事故はアンカーボルトの不良が見逃され、ボルトが抜け落ちたことで起きた。事故前の点検が、なぜ簡略化されたのか。一番知りたい。「どんな経緯で、だれが決めたのか。明らかにしてほしい」。佳子さんは訴えた。