25年以上にわたり多くの読者に選ばれ続けてきた大学案内『大学図鑑!』の最新版が今年も発売されました。現役生・OB・OGら5000人超のナマの声をもとに作成された本書は、大学選びの一助として多くの受験生に利用されています。本記事では、その最新版『大学図鑑!2026』の内容を一部抜粋し、再構成してお届けします。(本記事は2025年1月時点に執筆された『大学図鑑!2026』に基づいています)横浜国立大学、通称「横国(よここく)」とは、一体どんな学生たちが集い、どのようなキャンパスライフを送っているのでしょうか。
横浜国立大学の学生像とキャンパスの雰囲気
横浜国立大学には、これといった気負いなくキャンパスライフを謳歌するグループと、比較的早くから達観して学問や趣味に没頭するグループが存在します。全体としては良い意味でバランスが取れており、個人主義的な雰囲気が見られます。多くの学生は「そこそこ学び、そこそこ遊ぶ」といった平和な優等生タイプですが、首都圏の他国立大学(千葉大や埼玉大など)と比較すると、「小市民的で活気がない」という印象は薄いようです。自分の好きなことに熱中する「我が道を行く」タイプの学生も少なくありません。おしゃれな学生も多く、シンプルなファッションの中にもこだわりが見られることも特徴です。大学祭なども比較的盛り上がりを見せます。全体として、派手すぎず地味すぎない、バランスの取れた学生層が主流と言えるでしょう。
横浜国立大学のキャンパスを歩く学生たち
「横浜」のイメージと実際のキャンパス立地
理工学部を中心に名門校として知られる横国ですが、地方からの受験生にとっては「横浜」という名称が大きな魅力に映る一方、実際にキャンパスを訪れると「思っていた横浜のイメージ」とのギャップに驚く人も少なくありません。「地方の受験生は『横浜』の名前に踊らされず必ず一度は見にくること。住所は横浜でも、思っていた横浜ではない」(経営学部生)という声もあります。キャンパス周辺の雰囲気は、いわゆる「港町ヨコハマ」や都心的なイメージとは異なります。ただし、横浜駅からは比較的近い距離にあります。電車を利用する場合、最寄り駅からキャンパスまでかなりの距離を歩く必要があるため、横浜駅からバスを利用して通学する学生も多くいます。
港町ヨコハマと横国の意外な歴史
そんな横浜国立大学には、「港町の大学」としての側面も存在します。かつて理工学部の旧建築都市・環境系学科には、「海洋空間のシステムデザイン教育プログラム」という、船舶海洋工学から航空宇宙工学までを学ぶことができるコースがありました。その前身は、1929年に横浜高等工業学校に設置された造船工学科に遡ります。これはまさに、港町ヨコハマの歴史に深く根ざした、伝統ある分野だったのです。
「親孝行コース」と地元愛、そして東京
ユニークな点として、より入学難易度の高い大学に進学する学力がありながらも、あえて地元の大学に通い続け、進学を自宅から徒歩圏内の国公立大学で完結させることを、学生たちは自嘲気味に「親孝行コース」と呼んでおり、これに該当する学生が少なくないようです。「ハマっこ」と呼ばれる横浜育ちの人々には、とにかく地元横浜を愛する気持ちが強い傾向があります。しかしながら、東京科学大学をはじめとする東京の名門大学も横浜から非常にアクセスしやすいため、大学進学を機に横浜を出る学生も相当数いるのが実情です。
まとめ
横浜国立大学は、「そこそこ学び、そこそこ遊ぶ」バランス型から我が道を行くタイプまで多様な学生が集まり、個人主義的な雰囲気を持つキャンパスです。「横浜」という名称が持つイメージと実際のキャンパス立地にはギャップがある一方、港町としての歴史的な繋がりや、地元横浜への強い愛着を持つ学生、さらには「親孝行コース」といった独自の文化も見られます。学生たちのリアルな声から浮かび上がる横国の姿は、一言では語れない多様性と個性に満ちています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4830cc3e451f2c3f041cb437310da938bd4a0bc2