台風で水没しカビだらけの「実家」 片付け依頼した50代男性の理由

2018年から6年間放置され、畳が腐敗しカビだらけとなった一軒家。大阪府内にあるこの家には、50代の男性から片付けとYouTubeへの記録という依頼が入った。なぜ彼は、長年空き家だった実家の片付けを決意し、その様子を公開しようと考えたのか。これは、現代日本が直面する空き家問題、そして自然災害がもたらす現実を映し出す事例だ。

家の状態とその依頼の背景

家の1階は水浸しになったまま床にカビが繁殖し、壁のクロスは剥がれ落ち、天井からは水が染み出している深刻な状態だった。2階ベランダの排水溝詰まりにより溢れた水は部屋にも浸食し、特に天井の腐敗が進行していた。部屋にはブルーシートが敷かれ、庭には腐敗した畳が放置されている。この状態の家を片付けてほしいと依頼してきたのは、静岡県浜松市に住む50代の男性だ。この実家には、2018年4月まで彼の母親(80代)が一人で住んでいた。男性は依頼の理由について、「母が特別養護老人ホームに入ってからは、ずっと空き家でした。母は病気で入退院を繰り返していましたが、足腰が弱くなり施設入居が勧められました。2階まで上がらないと洗濯物が干せないなど、家にも段差が多くて大変だったんです」と語る。

台風で水浸しになり腐敗した実家の畳台風で水浸しになり腐敗した実家の畳

台風被害と「空き家」の深刻化

男性は高校卒業後、浜松で就職しすぐに実家を出て家庭を持った。大阪の実家には長年、両親が二人で暮らしていたが、少し年上の兄が37歳で他界。その半年後には父親も他界し、その後10年以上、母親が一人で暮らしていた。母が施設に入居した約4カ月後の2018年9月4日、「平成30年台風21号」が日本に上陸した。この台風は関西地方を中心に甚大な被害をもたらし、関西国際空港が高潮で浸水・閉鎖、連絡橋にタンカーが衝突するなどした。全国で死者14人、負傷者980人を出したこの台風は、空き家となった男性の実家も容赦なく襲い、現在の悲惨な状態を引き起こす決定的な要因となったのだ。

母が介護施設に入居後、台風被害によって無残な姿となった実家。長年放置され、ゴミ屋敷と化した家と向き合うことになった50代の息子は、なぜこの困難な片付けをYouTubeで公開したいと依頼したのか。その背景には、単なる物理的な整理を超えた深い理由がある。専門業者イーブイによる片付け作業が、新たな章の始まりを告げる。

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