【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザ地区では、食料や支援物資を求める住民が多数犠牲になる事態が頻発しており、国際的な懸念が高まっています。その中で、イスラエル紙ハーレツは、兵士らの証言に基づき、イスラエル軍が食料配給所付近でガザ 食料支援 発砲し、住民を意図的に殺害しているとの深刻な疑惑を報じました。この報道は、ガザにおける人道危機と軍事作戦のあり方を巡る議論に新たな波紋を広げています。
ハーレツ紙による「意図的発砲」の告発
イスラエルを代表するリベラル系主要紙であるハーレツは、27日に掲載された記事で、ガザ地区の食料配給所付近で発生した多数の民間人犠牲者に関する詳細を伝えました。同紙は、複数のイスラエル軍兵士からの証言を引用し、イスラエル国防軍(IDF)が物資配給を待つ、あるいは受け取ろうとするパレスチナ住民に対し、故意に発砲していると報じています。
ガザ地区での食料支援物資の配給を受けるパレスチナ住民この報道は、ガザ地区で続く飢餓状態と、それに伴う支援物資への殺到が発生している背景を踏まえると、極めて重い意味を持ちます。食料配給所は、本来、生命を維持するための物資を受け取る場所であり、そこで民間人犠牲が多数出ていること自体が悲劇的ですが、「意図的な発砲」であったとするならば、それは国際法に抵触する可能性のある重大な事態です。
イスラエル軍による内部調査の開始
ハーレツ紙の報道を受け、イスラエル軍は直ちに反応しました。軍は、報じられた内容の真偽や、食料配給所付近での発砲事件に関する事実関係を明らかにするため、内部調査を命じたことを発表しました。
ガザ地区で作戦を行うイスラエル国防軍の兵士たちこの調査は、戦争犯罪に該当する可能性のある行為がなかったかという疑いを含めて行われるとされています。これは、外部からの圧力や、兵士自身の証言といった内部からの情報が、軍として看過できないレベルに達していることを示唆しています。
イスラエル政府首脳による報道の否定
一方、イスラエル政府首脳はこのハーレツ紙の報道内容を強く否定しています。ベンヤミン・ネタニヤフ首相やヨアブ・カッツ国防相は、この報道はイスラエル軍に対する「誹謗中傷」であると断じました。
ガザ地区の食料配給所付近での出来事を示す場面政府は、軍の作戦は民間人の犠牲を避けるよう最大限の努力を払っており、ガザ地区における人道支援活動も促進しているという立場を繰り返し表明しています。政府首脳による迅速かつ強い否定は、国際世論や国内政治への影響を最小限に抑えたいという意図の表れと考えられます。
イスラエル軍の公式声明と今後の見通し
イスラエル軍は、公式な声明として「民間人への故意の攻撃を禁じている」と強調し、部隊にその原則が徹底されていることを主張しました。しかし同時に、問題となっている食料配給所付近での事件については「調査中」であると認めました。これは、少なくとも事件が発生し、民間人の死傷者が出ている事実は否定できないことを意味します。
今後の焦点は、イスラエル軍が行う内部調査の結果がどのようになるか、そしてその結果がどの程度透明性を持って公表されるかに移ります。国際社会や人権団体は、公正で徹底した調査と、責任の所在の明確化を求めるでしょう。この事件は、ガザにおける軍事作戦の国際的な正当性にも関わる重要な問題であり、その行方が注視されています。
参考文献
- ハーレツ紙(該当記事、日付は報道時による)
- イスラエル国防軍(IDF)公式声明
- イスラエル首相府・国防省発表