香港を中心に、2025年7月に日本で大地震や大規模災害が発生するという根拠のない噂が広がっている。この噂のきっかけは、ある日本の漫画作品で予知夢を基に描かれたとされる内容だ。「2025年7月5日に日本で大災難が起きる」といった具体的な日付を挙げる形でSNSなどを通じて拡散されており、科学的な根拠は一切存在しない。
この噂は海外にも影響を及ぼしており、特に香港ではSNSでの拡散が進んだ結果、日本へのツアー予約が減少するなど、観光業への具体的な影響も生じている。国境を越えて広がるデマの性質を示している。
2025年7月5日に日本で発生すると噂される大災難に関する検索イメージ
国内においても、この「2025年7月5日大災難」の噂は無視できないレベルで認知されている。衛星通信サービスのスカパーJSATが2024年6月中旬に全国の15歳から69歳までの1000人を対象に行った「身近な危機」に関する意識調査によると、この噂を「知っている」と回答した人は全体の49.4%にのぼり、「知らない」の50.6%とほぼ半々だった。
性別・年代別に見ると、「知っている」割合は女性では10代(61.4%)が最も高く、次いで50代(57.8%)が高かった。男性では若年層ほど高い傾向が見られ、10代(54.2%)、20代(51.8%)で半数を超えている。このことから、特に若い世代や一部の中高年女性の間で噂が浸透していることがわかる。
日本国内での「2025年7月大災難」噂の認知度調査結果グラフ
噂を知っていた494人に対し、どのような経路で情報を得たかを尋ねた調査では、「YouTube」が27.7%で最も多く、次いで「テレビ」25.7%、「ネットニュース」24.1%、「家族・知人」21.5%、「X(旧Twitter)」20.4%と続いた。様々なメディアや人づてのネットワークを通じて情報が伝播している実態が明らかになった。
情報源を性別・年代別に見ると、「YouTube」は男性に、「テレビ」は40代以上、「X」は若年層に多く利用されていた。また、10代女性では「TikTok」経由で知ったという回答が多い傾向が見られた。デマ拡散において、利用する情報プラットフォームの世代間・性別間での違いが影響していることが伺える。
「2025年7月大災難」の噂をどこから知ったかの調査結果を示す円グラフ
さらに、今回の調査では、信頼できる情報源として日常的に利用しているものについても尋ねている。「テレビ」が41.9%でトップとなり、次いで「ネットニュース」25.6%、「新聞(電子版含む)」21.8%という結果だった。
「テレビ」はいずれの世代でも信頼できる情報源として挙げられたが、60代では71.7%と圧倒的に高い一方、20代では24.7%と低く、世代による信頼度の大きなギャップが浮き彫りになった。これは、若い世代が伝統的なメディアよりもインターネット上の情報にアクセスしやすい環境にあることや、多様な情報源を使い分ける傾向があることを反映していると考えられる。根拠のない噂が様々なメディアを通じて広がる現代において、どの情報源を信頼するかという判断は、個々人にとってますます重要になっている。
信頼できる情報源として日常的に利用しているものに関する調査結果グラフ