米議会下院は2日、前日に上院が可決したトランプ大統領の看板政策を盛り込んだ大規模な減税・歳出法案の審議を開始しました。この法案はトランプ大統領の主要な公約であり、その行方に注目が集まっています。しかし、財政悪化への懸念から、複数の共和党内強硬派議員が支持を保留しており、審議は難航しています。
米連邦議会議事堂で記者団に対応するジョンソン下院議長。トランプ氏の減税・歳出法案の審議状況について説明。
審議の難航とジョンソン議長の説得
この日、下院非公開会議が続き、ジョンソン下院議長は反対派の説得にあたりました。議長は記者団に「本日中に採決予定。支持票確保へ懸念整理中、前向きに感じている」と表明。下院の共和党過半数は僅差で、ジョンソン議長は党内からの造反を3人以下に抑える必要があります。
保守強硬派の反発
共和党保守強硬派グループ「フリーダム・コーカス」のメンバーであるアンディ・ハリス議員は、ジョンソン議長が自身の法案反対と現状での可決票不足を認識していると記者団に発言。党内抵抗の根強さを示唆しました。
採決の見通しとトランプ大統領の意向
下院共和党会議のリサ・マクレイン議長はロイター通信に対し、下院本会議での手続き採決が同日夜10~11時との見通し。トランプ大統領は7月4日独立記念日までの成立を希望し、ホワイトハウスで一部の反対派議員と直接協議を行いました。だが共和党指導部は下院での審議手続きの採決を延期せざるを得ない状況にも追い込まれています。
財政への影響と民主党の懸念
米議会予算局(CBO)は、この法案が成立した場合、今後10年間で約3兆3000億ドルの財政赤字を拡大させると試算しています。また、約1200万人が健康保険を失う可能性も指摘しています。民主党は、減税措置が主に富裕層に利益をもたらす一方で、低・中所得層が依存する行政サービスが削減されるとして、法案に対し一貫して強い反対を表明。これは、法案がもたらす社会的な影響についても大きな議論を呼んでいることを示唆しています。
結論
米下院におけるトランプ大統領提唱の減税・歳出法案の審議は、共和党内の亀裂と財政への懸念から、依然として難航が続いています。ジョンソン議長は本日中の採決を目指していますが、保守強硬派の抵抗は根強く、法案の行方は不透明な状況が続いています。CBOの厳しい試算や民主党の強い反対もあり、法案成立への道のりは険しいと言えるでしょう。