参議院選挙公示を翌日に控えた2日、日本記者クラブ主催の党首討論会が開かれ、8党の党首が出席した。今回の議論の焦点の一つとなったのは、石破総理が示唆する2万円給付を巡る財源や手法についてだ。国民民主党の玉木代表や立憲民主党の野田代表が、石破総理に鋭く質問を投げかけ、政府の経済対策に対する各党のスタンスが浮き彫りとなった。
国民民主党の玉木代表は石破総理に対し、「総理がやろうとしている、言葉は悪いが“ばらまき”と言われる2万円は、いつ配られるのか?配るための事務経費はどれぐらいかかると考えているのか?そして財源として税収の上振れを使うと言われたが、去年の補正から比べると1.9兆円の上振れしかないのに、2万円全員に配るだけで2兆円以上かかる。財源は足りているのか?」と、時期、費用、財源の3点を質問した。
これに対し石破総理は、全くポイントも置かず重点化もしないものを「ばらまき」と定義し、消費税減税はある意味それに近いと述べた。今回の給付は「再配分」であり、低所得者や子育て世帯には4万円を支給するなど重点化を図っていると説明。事務経費については、マイナンバーの普及(8割保有、5割口座紐付け)により、マイポータルでの紐付け促進で大幅に削減できるとした。財源については、税収の上振れ、不用額の活用、税外収入で「きちんと手当てできる。いい加減なことは言わない」と強調した。
党首討論会で石破総理に質問する国民民主党の玉木代表
玉木代表は再度、「重点化するなら、なぜ高所得者も含めて全員に2万円を配るのか?むしろちゃんと税金を納めてきた人に、取るのをやめて懐に残した方が効果的ではないか、減税の方が効果的ではないか」と指摘。事務経費の明確な回答がない点に触れ、1000億円以上かかる可能性があるとし、そのような費用を使うよりも減税を主張していくと述べた。
立憲民主党・野田代表も議論に加わる
立憲民主党の野田代表も議論に加わり、石破総理の給付金に対する疑問を呈した。「税収の上振れは本来、借金返済に充てるべきもので、これまでの自民党はそうしてきたはずだ」と述べ、上振れ分を借金返済、今回の政策、防衛費増額にどう「配分」するのか明確に示すよう求めた。また、自身の党が提唱する「食卓応援給付金」(0税率実施までの間の措置)は、一般会計や特別会計の予備費、日銀納付金など明確な財源を提示しているのに対し、自民党には明確な内訳がなく、財源がはっきりしないことこそ「ばらまきではないか」と批判した。
党首討論会で石破総理に財源の明確化を求める立憲民主党の野田代表
石破総理は財源について、税収の上振れ(1.5兆円~2兆円)、不用額、税外収入(1兆円弱)を見込んでおり、これらを合わせると給付金の額と「ニアリーイコールになる」との見通しを示した。その金額の確定は、今後の予算編成過程で精査すると述べた。
野田代表は反論として、「私たちの(給付金)案は、所得の多い方には課税扱いとし、その分0.3兆円を財源にしている。これこそ財源の確保だ」と強調。石破総理の説明には、上振れ分全体の中で政策や防衛費増にそれぞれどれだけ充てるかという「配分」の話がなかったとし、公約として示すべきだと主張した。
今回の党首討論会では、石破総理が示唆する2万円給付について、財源の明確性、事務経費の妥当性、給付対象の適切性などが主な論点となった。国民民主党の玉木代表と立憲民主党の野田代表は、政府案の「ばらまき」的な側面や財源の説明不足を厳しく追及。これに対し石破総理は、給付は低所得者などへの「重点化」であり、財源も確保できるとの見解を示したが、具体的な配分の詳細などについてはさらなる精査が必要との姿勢を見せた。参議院選挙を前に、経済対策としての給付金に対する各党のスタンスの違いが鮮明となった議論だった。
(ABEMA NEWS)
ABEMA TIMES編集部