参議院の選挙戦中、各党党首による討論会が注目を集めた。その中で、石破茂首相がある発言をしたシーンがSNS上で拡散され、物議を醸している。首相は「あまり舐めない方がいいですよ。今50代の人達ね」と発言した。
参議院予算委員会に出席する石破茂首相(2025年3月17日撮影)
憮然とした表情、半ば脅すような口調に見えたため、このシーンだけを見た人々は「俺を舐めるな」といった威圧的な意味合いに捉えかねない状況だった。SNSでは《あまり舐めない方がいいのはお前だよ》《顔が怖い》《破れかぶれか》といった批判的な投稿が相次いだ。
石破氏の「舐めない方がいい」の本当の意味
しかし、この発言は明確な「切り取り」であり、実際の発言の真意は異なると分析されている。7月1日に放送された『news every.』(日テレ系)の党首討論で、発言の全体は「団塊のジュニアが高齢化するっていうのをあんまり舐めない方がいいですよ。今50代の人たち」というものだったのだ。全国紙記者は「現在50代くらいで人口ボリュームのある団塊ジュニアが高齢化するにあたり、年金をはじめとする社会保障費も膨らむ。その状況を軽視してはいけない、という意図だろう」と解説した。この討論会では直前に各党の減税・給付公約が議論されており、社会保障財源である消費税に手を加えることの将来的な影響について「舐めない方がいい」と述べた可能性が高いとされる。
ある意味、この発言は社会の将来を見据えた真っ当な内容だったが、切り取られて恫喝的な意味に受け取られ、石破首相にとって不本意な状況だった。加えて、この日の石破首相は全体的に表情が硬く、笑顔がほとんど見られなかった。発言後も司会の鈴江奈々アナウンサーに「次(のテーマ)はどうくるんですか?」と問いかけ、返答に対し小声で「そんなこと言ってないし」と不機嫌そうな物言いをする場面も見られた。「自民党は消費減税なんて言っていない」と主張したかったとみられる。
結論
石破首相の「舐めない方がいい」発言は、将来の社会保障負担増に対する懸念を示すものだった可能性が高い。しかし、その発言が文脈から切り離され、また首相自身の硬い表情や物言いが相まって、威圧的な印象を与えてしまった結果、物議を醸す結果となった。