西アフリカのガーナ共和国から第9回アフリカ開発会議(TICAD)出席のため訪日中のマハマ大統領(66)が22日夕、東京都内のホテルで開かれた「元在ガーナ日本大使館員同窓会」に出席し、旧知の日本の同僚たちと再会を果たしました。マハマ大統領は30年以上前、同大使館で現地採用の広報文化担当職員を務めていた経歴を持つ大の親日家。経済改革を担う実力派指導者としての顔とは異なる、意外な過去が明らかになりました。
「ジョンさん」と呼ばれた日々:日本大使館での勤務経験
マハマ大統領は1991年から1995年まで、ガーナの首都アクラにあった旧日本大使館に勤務していました。当時、彼は現地職員としては異例の重要任務を任され、日本政府の方針に関するスピーチ案作成などに携わっていました。また、ガーナで黄熱病の研究中に亡くなった野口英世の伝記映画の広報活動も担当し、日本の文化や歴史に深く関わっていました。
かつてマハマ大統領は、大使館での仕事を通じて「日本人のきちょうめんさや気配りの重要さを学び、それが今の仕事にも役立っている」と語ったこともあり、彼の政治家としての基盤形成に日本の経験が大きく影響していることがうかがえます。
12年ぶりの「同窓会」:笑いと感謝の再会
部屋に入ったマハマ大統領は、満面の笑みで一人ひとりの名前を呼び、固い握手を交わしました。今回の「同窓会」は2013年以来、12年ぶり2回目の開催で、今回はマハマ氏自身が呼びかけたとされています。海外勤務中の元同僚2人からも、当時のマハマ氏の愛称である「ジョンさん」の思い出を語るメッセージ映像が寄せられ、会場は温かい雰囲気に包まれました。
外務省関係者によると、マハマ大統領が「大使館の求人広告を見て応募した」と明かすと、日本側からは「我々が判断ミスをせず、将来の大統領をきちんと採用できて良かった」とユーモラスな返答があり、皆が爆笑する一幕もありました。また、マハマ大統領は2027年の両国外交関係樹立70周年と野口英世ガーナ渡航百周年に合わせ、「発展したガーナをぜひ訪問してほしい」と日本の元同僚たちを招きました。
ガーナのマハマ大統領が東京都内で元日本大使館員との「同窓会」に参加し、笑顔で旧交を温める様子
元同僚が語る「人気者」マハマ氏の素顔
当時の同僚たちは、マハマ大統領の人柄を懐かしそうに語りました。当時同じ担当だった外務省の永吉昭一福利厚生室長は、「30年以上もずっと日本を大事に思ってくれていることが本当にうれしくありがたい」と語り、長年にわたるマハマ氏の親日ぶりを称えました。
また、阪本浩一郎企画官は、「誰にも分け隔てがないので決して悪く言われない人気者だった。退職時は皆惜しんだ」と振り返り、マハマ氏が当時から周囲に慕われる人柄であったことを証言しました。大使館退職の翌年に国会議員となり、2012年には大統領に就任したマハマ氏の成功は、その人間性からも裏付けられると言えるでしょう。
結び
ガーナのマハマ大統領と元日本大使館員との心温まる再会は、国家間の関係が個人の深い絆によっても支えられていることを改めて示しました。日本文化への理解と親近感を持ち続けるマハマ大統領の存在は、日本とガーナの友好関係を一層深める上で、かけがえのない橋渡し役となることでしょう。この特別な「同窓会」は、外交における人的交流の重要性を浮き彫りにしました。