トランプ米大統領は6日、関税協議で早期合意が見込めない場合、最大15カ国に対し7日正午(日本時間8日午前1時)から新たな関税率を示した書簡を一方的に送ると表明した。トランプ政権が当初定めた「期限」である9日が迫る中、各国との貿易交渉への圧力を強めている。日本が含まれるかは現時点で不明だ。
米東部ニュージャージー州で記者団の取材に応じるトランプ大統領。貿易交渉と関税について言及
一方的な関税書簡の送付表明
トランプ氏は6日、米東部ニュージャージー州で記者団に対し、「月曜日(7日)に貿易協議に関連した書簡を送る予定だ。12カ国あるいは15カ国になるかもしれない」と述べた。8日、9日にも複数の書簡を送る考えを示し、「多くの国は9日までに(交渉を)完了できると思う。書簡かディール(取引)のどちらかだ」として、一方的に新たな関税率を送りつけられたくなければ、早急に交渉をまとめるよう各国に迫った。この発言は、期限を目前にした米国側の強い姿勢を示すものと言える。
発動時期と対象国の範囲に関する言及
同席したラトニック商務長官は、新たな関税は「8月1日に発動する」と述べ、7日以降に示す書簡に記載される関税率が直ちに適用されるわけではないとの認識を明らかにした。トランプ氏はまた、6日に自身のソーシャルメディアに「7日正午(米東部時間)に、米国の関税に関する書簡を世界中の国々に送付し始めると発表できるのをうれしく思う」と投稿し、改めて書簡送付の意向を強調した。さらに、ベッセント財務長官は同日放送されたCNNテレビのインタビューで、「貿易額の少ない100カ国に対し書簡を送ることになるだろう」と述べ、対象となりうる国の範囲について別の見方を示唆した。
貿易交渉の現状と日本への潜在的影響
トランプ政権は4月に発表した「相互関税」の上乗せ分適用を7月9日まで停止し、それまでに各国・地域との関税交渉を終える考えだった。しかし、6日までに合意に至ったのは英国とベトナムのみにとどまっている。このため、9日までに合意に達しない国に対しては、新たな関税率を示した書簡を一方的に送る方針を改めて明確にした形だ。日本に対しても、4月に示唆されていた関税率(24%)を上回る最大35%の関税を求める考えが示唆されている。これは、日本からの輸入品に対して大幅な関税が課される可能性を示しており、日本経済への影響が懸念される。
日本政府の対応方針
一方、日本政府は、トランプ政権から新たな関税率を通知する書簡が送付された場合、関税率など内容の一部を公表する方針を示している。これは、日本企業への影響が大きいと判断した場合に、迅速に情報を共有し、対応を促すための措置と考えられる。日本側は米国の動向を注視しつつ、今後の対応を検討している状況だ。
結論
トランプ米大統領が最大15カ国に対し、貿易交渉の合意がない場合は新たな関税率を示す書簡を一方的に送付すると表明したことで、各国の貿易交渉は期限に向けて一層の圧力を受けることになった。書簡送付の具体的な対象国はまだ確定していないが、日本もその対象に含まれる可能性があり、日本政府は米国の出方を慎重に見守りながら、企業への影響を最小限に抑えるための準備を進めている。
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