米軍B-2ステルス爆撃機、イラン核施設攻撃に投入:3万ポンド爆弾投下作戦の詳細

米軍のB-2ステルス爆撃機が、イランの地下核施設への攻撃ミッションを遂行しました。37時間ノンストップ飛行という長距離任務で、特に注目されるのは、米軍史上初となる3万ポンド(約13.6トン)の巨大爆弾「バンカーバスター」の投下です。この前例のない攻撃は、いかにして実行されたのでしょうか。海外メディアの報道から、作戦の詳細が見えてきました。

緻密な「ミッドナイト・ハンマー」作戦の全貌

アメリカのドナルド・トランプ大統領は6月21日、米軍が地下貫通弾を使用し、イラン国内にある3カ所の地下核施設を攻撃したと発表しました。その損傷程度については見方が分かれていますが、英BBCによると、米中央情報局(CIA)のジョン・ラトクリフ長官は6月24日、核施設に「深刻なダメージ」を与えたと表明しています。

この空爆は、イラン現地時間21日深夜2時、「ミッドナイト・ハンマー」作戦のもと決行されました。作戦の必須条件は、イランの強固な防空システムが反応する前に、首都テヘラン南方に分散配置された3つの核施設を同時に攻撃すること。これは極めて精密な連携を要するものでした。

作戦には大量の米軍機が投入されています。米CNNは、太平洋と大西洋双方から発進した125機以上の航空機(爆撃機、戦闘機、偵察機、給油機など)が関与したと報じました。

なかでも中心的な役割を担ったのが、7機のB-2ステルス爆撃機です。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、ミズーリ州から片道18時間飛行後、現地時間午前2時10分からの25分間で、ナタンズ、フォルドー施設に計14発の巨大貫通爆弾を投下しました。

ワシントンD.C.で行われた独立記念日の祝賀行事で、ホワイトハウスのバルコニーからB-2スピリット爆撃機による飛行を観覧するトランプ大統領とメラニア夫人ワシントンD.C.で行われた独立記念日の祝賀行事で、ホワイトハウスのバルコニーからB-2スピリット爆撃機による飛行を観覧するトランプ大統領とメラニア夫人

また、B-2がイラン領空に侵入する1分前には、中東に配備されていたアメリカ潜水艦が、中部イスファハンに位置する3つ目の核施設に向けて24発以上のトマホーク巡航ミサイルを発射しました。米ワシントンポスト紙は、1979年のイラン政権崩壊以来、アメリカ軍によるイラン本土への初の大規模攻撃となったと指摘しています。まさに分秒を争う緻密な連携作戦でした。

地下要塞を貫く3万ポンド爆弾「バンカーバスター」

今回のミッドナイト・ハンマー作戦で、天然の要塞に守られ地下深くに位置する核施設を攻撃するため、B-2は類を見ない大型爆弾を装備しました。

特に標的となったフォルドー核施設は、山の地下約75〜90メートルという驚くべき深さにあります。これは建物の地下19階〜23階に相当し、通常の兵器では到達不可能な深度です。

そこで搭載されたのが、GBU-57大型貫通爆弾(MOP)、通称「バンカーバスター」です。この爆弾は重量3万ポンド(約13.6トン)に及び、米公共ラジオ放送のNPRによると、これほど巨大な爆弾を運搬できるのは米軍機の中でもB-2ステルス爆撃機だけだとされています。B-2は過去の作戦で最大2000ポンドまでの爆弾を搭載した実績がありますが、今回使用された爆弾はその実に15倍もの規模です。

この「ミッドナイト・ハンマー」作戦は、イランの地下核施設に対し、大規模かつ精密な同時攻撃を敢行した画期的な事例と言えます。特に、標的の深さに対応するため、米軍がB-2ステルス爆撃機と史上最大の貫通爆弾であるGBU-57バンカーバスターを組み合わせたことは、その兵器能力を示す重要な一歩となりました。国際社会は、この高度な軍事技術の影響を注視しています。

【参照元】

  • BBC News
  • CNN
  • The Wall Street Journal
  • The Washington Post
  • NPR