鶴保庸介議員の能登地震「運がいい」発言に世耕弘成氏が猛批判

元自民党で現在は無所属の世耕弘成衆院議員(衆院和歌山2区)は9日までに自身のX(旧ツイッター)を更新し、自民党の鶴保庸介参院議員(参院予算委員長)が8日の応援演説で行った能登地震に関する発言を厳しく批判しました。この発言は、和歌山市で行われた参院選(20日投開票)の自民党候補者の応援演説の中で飛び出したもので、大きな波紋を呼んでいます。

鶴保議員の「運のいいことに」発言とその背景

鶴保氏は8日の会合で、能登半島地震後の政府による「2拠点地域居住」の取り組みに言及しました。この中で、被災者が居住地以外でも住民票の写しを取得できるようになった事例などを挙げ、「運のいいことに能登で地震があったでしょう」「金沢にいても輪島の住民票が取れるようになった」「やればできるじゃないか、という話をした」などと発言しました。これは、災害をきっかけに新たな行政サービスの実現が進んだという文脈での発言でしたが、その表現が被災者の心情への配慮を欠いているとして問題視されました。

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世耕氏からの厳しい批判

世耕氏は8日の投稿で、この鶴保氏の発言を報じるネットニュースを引用し、「これはあまりにも酷い発言です」と断じました。さらに、「あまりにも県民の気持ちから乖離した発言。故岸本知事が被災後の能登を真っ先に訪問され、災害に脆弱な半島県としての思いを共有されたことをわかっていないのでしょうか。こんなこと、和歌山県民一人たりとも思っていません」と、和歌山県民の立場から強い不快感と批判を表明しました。

鶴保氏の発言撤回と陳謝

鶴保氏は発言を受け、同日深夜になってコメントを発表しました。その中で、「能登地方が被災したことを運よく、などと思った発言ではないことはもちろんだ」と釈明しつつも、「被災者への配慮が足りず、言葉足らずだった」と認めました。「深く反省し、陳謝の上、撤回する」として、問題となった発言を撤回しました。

和歌山参院選における政治的背景

世耕氏は昨年、旧安倍派の政治資金規正法違反事件を巡り自民党から離党勧告を受け、離党しました。その後、参院議員から衆院議員にくら替えし、昨年の衆院選で和歌山2区から立候補して初当選を果たしました。和歌山県は、長年、元自民党幹事長の二階俊博氏が強い影響力を持つ「二階王国」として知られています。

かねてから二階氏との和歌山における「主導権争い」が指摘されてきた世耕氏が、昨年の衆院選で二階氏の地盤である和歌山2区を制した相手は、今回の参院選和歌山選挙区に自民党公認で立候補している二階氏の三男、二階伸康氏(47)でした。世耕氏は今回の参院選では無所属の望月良男氏(53)を支援しており、昨年の衆院選に続き、この参院選は事実上の「二階VS世耕」の保守分裂選挙となっています。

和歌山選挙区のその他の候補者

参院選和歌山選挙区には、上記の二階伸康氏、望月良男氏のほか、共産党の前久氏(69)、日本維新の会の浦平美博氏(53)、無所属の末吉亜矢氏(54)、諸派の本間奈々氏(56)、参政党の林元政子氏(51)も立候補しています。鶴保氏の発言とそれに対する世耕氏の反応は、この注目の選挙戦にも影響を与える可能性があります。

まとめ

鶴保庸介参院議員の能登地震に関する不適切な発言は、元自民党の世耕弘成衆院議員から厳しい批判を浴び、本人はその後発言を撤回し陳謝しました。この一件は、被災者への配慮の重要性を改めて浮き彫りにするとともに、世耕氏と二階氏の間で続く和歌山県の政治的主導権争いが、今回の参院選でも影響力を持っていることを示しています。和歌山選挙区の保守分裂選挙の行方が注目されます。

[Source link ](https://news.yahoo.co.jp/articles/769f0f200b4db381f5339a49c1d028b927562645)