トランプ前大統領、貿易交渉の最終期限を強調:インドへの強硬姿勢が示唆する他国への圧力

ドナルド・トランプ前米国大統領は、その強硬な貿易政策を改めて鮮明に打ち出した。特に、貿易交渉の期限延長を断固として否定し、インドに対して高率な関税と追加罰則を科すと明言したことは、交渉期限が目前に迫る韓国をはじめとする他国に対し、事実上の「最後通告」を突きつけたものとして、国際社会に大きな波紋を広げている。彼の発言は、米国が自国の利益を最優先する姿勢を崩さないことを明確に示しており、今後の貿易関係の動向が注目される。

インドへの「高関税と追加罰則」宣告の波紋

トランプ前大統領は30日(現地時間)、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」を通じて、「8月1日の期限は8月1日の期限だ。それは確かに維持され、延長はされない。米国にとってとても重要な日(A BIG DAY)!!!」と強調した。さらに「8月1日、米国にとって非常に偉大な日(A GREAT DAY)!!!」という投稿を重ねて行い、その固い決意を大文字表記で示した。

ワシントンD.C.のホワイトハウスに戻る途中、貿易政策についてコメントするドナルド・トランプ前大統領。
ワシントンD.C.のホワイトハウスに戻る途中、貿易政策についてコメントするドナルド・トランプ前大統領。ワシントンD.C.のホワイトハウスに戻る途中、貿易政策についてコメントするドナルド・トランプ前大統領。

その後、彼はインドを名指しで批判する投稿を行った。米国がインドとの貿易が少ないのは「インドの関税が過度に高く、煩雑で不快な非関税障壁のため」と指摘。加えて、インドの親ロシア的な姿勢にも言及し、「インドはロシアから軍事装備の大部分を購入しており、ウクライナでの虐殺を止めるよう世界がロシアに求めているこの時期に、中国と並んでロシアエネルギーの最大購入国になっている」と非難した。そして、結論として「インドに対する関税を25%に確定し、上記の事項に関する追加罰則を加える。米国を再び偉大に(MAGA)!」と表明した。これは、昨年基準で500億ドル(約7兆4730億円)に達する対インド貿易赤字を関税引き上げの根拠としているとみられている。

韓国への実質的な「最後通告」とその背景

トランプ氏の一連の投稿は、韓国との最終交渉を控えたタイミングで行われたもので、その意図は明らかである。韓国が、日本や欧州連合(EU)が15%の関税で合意した前例を参考にし、期限に追われず安易な態度を見せていると捉え、さらに圧力を強めようとしているとの見方が強い。

この文脈で、ハワード・ラトニック商務長官が27日にスコットランドで韓国政府との交渉において「最善かつ最終的な(best and final)」交渉案を提示するよう促したというウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道も注目される。WSJによると、ラトニック長官は韓国政府関係者に対し、「トランプ氏に最終交渉案を提示する際には、すべてを持ってこなければならない」と述べ、「トランプ大統領がEU、日本、英国など主要パートナーとすでに多数の貿易協定を締結した状況で、なぜ韓国との新たな協定が必要なのかを説得しなければならない」と強調したという。

米国が韓国に求める「目に見える成果」

これまでの韓国側が提示してきた交渉案に対して、米国内ではやや不満の声が出ていると分析されている。韓国政府は、対米投資の規模を従来の「1000億ドル+α」から2倍以上に引き上げる案を検討しているとされる。韓国側が提示する「韓米製造業協力」カードも重要ではあるが、最終的にはトランプ氏が米国民に「一目でわかる数字」を示すことができるような具体的な成果が求められている。

今回のトランプ前大統領の強硬な発言は、彼が今後も保護主義的な貿易政策を推し進める可能性が高いことを示唆している。特に、交渉の期限を厳格に守らせ、米国にとって有利な条件を引き出そうとするその姿勢は、今後の国際貿易秩序に大きな影響を与えるだろう。韓国をはじめとする各国の今後の対応が、貿易関係の新たな局面を形成する鍵となる。

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