自民党の鶴保庸介参院予算委員長が先日、参院選関連の会合で能登半島地震に触れ、「運のいいことに能登で地震があった」と発言し、大きな波紋を広げています。この発言に対し、国内外から厳しい批判が相次ぎ、同氏は発言を撤回し謝罪に追い込まれました。
自民党の鶴保庸介参議院議員(2006年撮影)
発言内容とその波紋
鶴保氏の発言は、和歌山市で行われた参院選候補者の会合でのあいさつ中に行われました。同氏は、地震発生後に被災地以外でも住民票の写しを取得できるようになったことなど、政府が進める「2拠点地域居住」への取り組みに言及する文脈で、「運のいいことに能登で地震があったでしょう」と述べました。さらに、「金沢にいても輪島の住民票が取れるようになった」「やればできるじゃないか、という話をした」と続けました。この地震の被災者への配慮を著しく欠く内容の発言は、インターネット上のSNSでトレンド入りするなど、一般国民から強い批判を招き、与野党双方からも疑問や批判の声が上がっています。特に、選挙戦を戦う自民党の関係者からは、「最悪だ。致命傷になる」といった怒りの声が聞かれています。
鶴保氏の経歴と過去の騒動
鶴保氏は1998年の参院選和歌山選挙区で自民党公認として初当選を果たしました。現在当選5回で、今回は非改選の立場です。2016年8月には第2次安倍内閣で沖縄北方担当相として初入閣しましたが、同年11月には沖縄県の米軍施設工事への反対派に対する機動隊員の「土人」発言について、差別とは断じられないとの見解を示し、記者会見で撤回を求められても拒否したことで波紋を広げました。当時の金田勝年法相は「差別用語に当たる」との認識を示しており、野党からは辞任要求が出され、与党である公明党幹部からも批判の声が上がっていました。
私生活と政治的関係
私生活では、2001年に自民党の野田聖子衆院議員との事実婚を公表し、話題となりました。2006年に関係を解消しましたが、その後も政治的な関わりは続いており、野田氏が2021年の自民党総裁選に立候補した際には、鶴保氏が推薦人に名を連ねています。
今後の政治的影響
能登半島地震が発生した石川県と、今回問題発言が飛び出した和歌山県は、自民党にとって参院選での勝利の鍵を握るとされる32ある「1人区」の選挙区です。鶴保氏は9日午前の会見で議員辞職や離党は否定したものの、被災地への配慮を欠く今回の発言は、特にこれらの激戦区を含む自民党の選挙戦に大きな影響を与える可能性があります。この問題が今後どのように展開するか、政局の焦点となっています。
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