家庭ごみ「不燃ごみ」に出される困った実態 家電リサイクル法違反や危険物も

私たちが日々暮らす中で、ごみは避けて通れない存在です。その中には、金属、陶器、ガラスといった不燃ごみに分類されるものがあります。地方自治体は、不燃ごみを含む様々なごみの出し方について、ガイドブックなどを通じて市民に周知しています。しかし、本来は集積所に出してはいけない家電リサイクル法の対象物や処理困難物までもが、「燃えないごみ」という漠然としたイメージから、不燃ごみとして一括りにされてしまうケースが少なくありません。先日、東京23区内にある清掃事務所を訪れる機会があり、「不燃ごみ」として出された物の現状を見せていただきましたが、倉庫の一角に一時保管されていたそれらの排出物を見て、その多種多様さと問題に直面する清掃現場の困難さを改めて認識しました。

不燃ごみに誤って出された注射器や、可燃ごみに出されたCDなど、ルール違反の家庭ごみ事例不燃ごみに誤って出された注射器や、可燃ごみに出されたCDなど、ルール違反の家庭ごみ事例

ルール違反のごみが抱える問題

家庭ごみの排出ルールが守られないことにより、様々な問題が生じています。特に不燃ごみの集積所には、本来の分類とは異なるものが多数紛れ込んでいるのが現状です。

家電リサイクル法の対象物

家庭用エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は、家電リサイクル法によりメーカーによるリサイクルが義務付けられています。これらの製品は、不燃ごみや粗大ごみとして自治体では収集・処理できません。買い替えなどで不要になった場合、新たに製品を購入する販売店に引き取りを依頼し、「収集・運搬料金」と「リサイクル料金」を支払って適正に引き取ってもらう必要があります。

費用や手間を避ける結果

この引き取り手続きが面倒であったり、リサイクル料金や収集・運搬料金の費用を回避したいという理由からか、不燃ごみの日に冷蔵庫や洗濯機といった大型家電が平然と出される事例が見られます。家電リサイクル法の対象物を、定められた方法以外でごみ収集場所へ排出することは、不法投棄に該当する犯罪行為です。廃棄物処理法では、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。

清掃現場と地域社会への影響

家電リサイクル法に基づくメーカーリサイクルの対象品は、法律上の制約があるため地方自治体では収集できません。そのため、ごみ収集場所にそのまま残置せざるを得ないのが基本的な対応となります。

残置ごみが招く悪循環と危険

しかし、家電製品や処理困難物が収集場所に残された状態が続くと、新たなごみがその周りに捨てられやすくなり、やがて不法投棄のごみ山を形成してしまう危険性があります。また、中には鋭利な物や有害物質を含む可能性がある物など、住民に危害を及ぼすリスクのある物品も含まれていることがあります。そのため、残置されたごみが放置されていることに対し、近隣住民から即時回収を強く求められるケースも発生し、清掃事務所の職員が対応に苦慮しています。

自治体の取り組みと限界

自治体も手をこまねいているわけではありません。不適正排出されたごみに警告シールを貼ったり、周辺住民への聞き取り調査を行ったりするなど、ごみの排出者を特定し、自主的な取り下げを促す努力を続けています。これらの地道な活動により、問題のごみが回収される成功事例もありますが、すべての不適正排出に対応しきれているわけではなく、根本的な解決には至っていません。

まとめ

不燃ごみ集積所に混入する家電リサイクル対象品や処理困難物は、単なる排出ルールの違反にとどまらず、不法投棄という犯罪行為に繋がりかねない深刻な問題です。これは清掃作業員の負担を増やすだけでなく、地域のごみ集積所の環境悪化や住民への危険をも引き起こします。適正な排出方法を知り、それぞれの品目を定められたルールに従って出すことこそが、清潔で安全な地域環境を保つために不可欠です。

参考資料

https://news.yahoo.co.jp/articles/0f4902d01c2bba8ccdbcba2b4aa830da4c0f727c