国分太一休業、TOKIO解散の波紋:「鉄腕DASH」はなぜ続くのか、浮き彫りになるタレントの価値

ハラスメント問題により国分太一(50)が無期限休業を発表したわずか5日後の6月25日、自身が一員だった「TOKIO」が解散を発表した。彼らが長年続けてきたレギュラー番組、特に看板番組の行方に注目が集まっている。一連の騒動を通じて見えてきた、国分の、そして現代におけるタレントの価値とは何なのだろうか。

各局に広がった不安とその収束

[国分太一休業、TOKIO解散の波紋:「鉄腕DASH」はなぜ続くのか、浮き彫りになるタレントの価値

国分太一氏のイメージ写真。ハラスメントによる無期限休業を発表した元TOKIOのメンバー](https://news.yahoo.co.jp/articles/52cec9b61899f059dbea3615d66dbdec4ff82699/images/000)

TOKIOの代名詞的存在である「ザ! 鉄腕! DASH‼」(日本テレビ系)の今後について、当初は懸念が広がっていた。日テレの会見があった6月20日、トヨタ自動車が電通を通じてテレビ各局に対し、国分が出演する番組でのスポットCM出稿を見合わせるよう要請。トヨタのような大口クライアントの判断は他のナショナルクライアントにも影響すると見られたため、テレビ各局には不安の色が広がった。

しかし、この懸念を払拭する出来事が起こった。国分の登場シーンをカットして放送された「鉄腕DASH」の視聴率が、むしろ好調を維持、あるいは上昇したのだ。6月22日放送回は前週の9.3%から9.7%に上昇し、29日放送回も9.5%と高水準を保った。

この数字を受けて、変化が見られた。22日の回では一部クライアントが出稿を控え、ACジャパンのCMが多く流れる事態となったが、29日の回では普段通りに企業のCMが戻ってきたという。テレビ局関係者は「『鉄腕DASH』については当分の間、打ち切りなどあり得ない」と明言している。

番組を守るテレビ局の戦略と国分の存在感の変化

日本テレビが「鉄腕DASH」を全力で守る姿勢の背景には、同局の番組編成戦略がある。「世界の果てまでイッテQ!」、「月曜から夜ふかし」、そして「鉄腕DASH」の三つは、日テレが特に重視する13〜49歳を対象としたコア視聴率において上位を占める「稼ぎ頭」であり、「売れている番組は全力で守る」という方針が貫かれている。過去にも「イッテQ!」のやらせ疑惑や「月曜から夜ふかし」での捏造編集問題が取り沙汰された際も、局は謝罪しつつ番組継続の意向を示し、実際に放送は続いている。「鉄腕DASH」についても、福田博之社長は先の会見で継続を明言した。TOKIOの他のメンバーである城島茂(54)と松岡昌宏(48)も、今後はそれぞれ一タレントとして番組出演を続ける見込みだ。

こうした状況は、もはや“国分抜き”で話が進み、関係先の多くが平穏を保っている現実を浮き彫りにする。TOKIOとしてPR事業を担っていた福島では以前からさして実のある仕事をしていないという見方もあったが、騒動の震源地となった日テレでも、国分の存在は過去のものになりつつあると指摘する声がある。6月27日に開かれた親会社の日テレHDの株主総会でも、国分に関する質問はわずかで、荒れることもなかった。これは、同社の株価が前年から大幅に上昇している経済的安定が一因とされる。

テレビ局関係者からは、「思えば“国分は何をしてたんだっけ?”という印象」といった感想も漏れる。特に近年、「鉄腕DASH」の看板企画である地方での過酷なロケへの参加頻度が激減しており、その穴を旧ジャニーズ事務所の「STARTO ENTERTAINMENT」所属の若手タレントが十分に埋めている現状が指摘されている。「DASH島」企画ではSixTONESの森本慎太郎(27)が、「0円食堂」ではAぇ!groupの草間リチャード敬太(29)が重要な役割を任され、安定した仕事ぶりを見せているという。

無期限休業のタレントが直面する現実

無期限活動休業を発表して以降、公の場に姿を見せていない国分。6月29日の夜、彼が都内の自宅で家族と過ごしているとされる豪邸を訪ねた記者がインターホンを鳴らすと、男性が沈んだ声で応じたという。取材である旨を伝えると、応答はなく電話は切れてしまった。

国分自身は自身の不始末に苦慮しているだろうが、それ以上に、自身の不在にも関わらず揺るぐことのない「業界」の姿に、今、苦い思いを噛み締めているのかもしれない。今回の騒動は、人気タレントであっても、番組や組織の歯車としては代替可能であるという、エンターテインメント業界の厳しい現実を示唆している。

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