大韓民国が建国以来初めて経験した領土侵犯の危機は、75年前の北側から始まった。最近、領土主権に対する二度目の侵犯が本格化しているが、今回は西側、いわゆる中国の黄海工作だ。この二度目の侵犯は、朝鮮戦争とは異なり緩やかに進行しており、国民はリアルに肌で実感できていないようだ。しかし、黄海を中国の内海にしようとする黄海工作が成功するなら、韓国は甚大な打撃を受けることになる。内海は陸地に囲まれ、狭い海峡を通じるだけで公海に進出できる海を意味する。一般的に無害通航権(外国船舶が沿岸国の安全を害しない条件で通過できる権利)が認められる領海とは異なり、内海は陸地のように無害通航権を保証されない。つまり、中国が黄海を内海化するということは、中国領土が朝鮮半島に向かって拡大してくることと同じだ。これが韓国の安保にどのような影響を及ぼすかは問うまでもない。
黄海における国際法上の位置づけと中国の一方的行動
もちろん、黄海が中国の内海であるという主張は、国際法上話にもならないことだ。韓国と中国は2000年に漁業協定を締結し、黄海で両国の排他的経済水域(EEZ)が重なる海域を暫定措置水域(PMZ)に設定し、共同管理することで合意した。PMZでは漁業以外の施設の設置や資源開発などが禁止されている。だが、2018年から中国は養殖施設という名分で鉄骨構造物をいくつか設置し、論争を巻き起こした。養殖も漁業だと主張するが、いくらでも軍事用に転用できるプラットフォームだ。
韓国外交部が抗議をしてみたが、中国は聞いたふりすらしない。今年2月、韓国の海洋調査船オンヌリ号が問題の構造物を調査するために接近すると、中国は大型艦艇2隻とゴムボート3隻を動員して物理的に調査を阻止した。さらにゴムボートに乗った中国人は凶器で威嚇までしたという。このような固定構造物を繰り返し設置し、後になって一方的に黄海上に中国の主権を宣言しようという下心が透けて見える。
黄海(西海)の暫定措置水域(PMZ)に、中国が一方的に設置した石油ボーリング設備のような形状を持つ構造物
南シナ海戦略との類似性とその戦略的意図
中国はすでに南シナ海に人工島を作って内海化戦略を展開して久しい。中国が南シナ海に一方的に描いた「九段線」を地図で見るとあきれるしかない。中国本土から1000キロ以上離れたインドネシア近海まで自国の領海だと言い張る勢いだ。2016年国際常設仲裁裁判所(PCA)が九段線は無効だと判決したが、中国は徹底的に無視している。国際法は力の論理の前にあまりにも無力だ。中国の黄海工作は渤海湾から北京につながる政治・経済要衝地を保護するという国家戦略だ。1~2回やってみてうまくいかなければ止めるという性格でもない。たとえ習近平体制が幕を下ろすとしても、後継権力が黄海工作を執拗に推し進めるだろう。
独島(竹島)問題との比較と韓国が取るべき対応
日本が独島(トクド、日本名・竹島)領有権を主張するというが、韓米日協力体制が維持される限り、韓国の領土主権が実質的に脅威を受けることはない、という見方がある。反面、黄海工作は「実際の状況」であり、徐々に増す脅威だ。独島問題に比べて百倍は深刻であると指摘されている。
韓国が黄海を守るには、政権に関係なく長期的に一貫して断固とした態度を見せるべきだ。ひとまず中国が構造物を撤去しないなら、それに対応する位置に我々も類似の施設を設置する必要がある。中国人工島に対抗してベトナムも南シナ海に人工島を多数建設した事例を参考にしよう。また、米国・日本など国際社会と連携して共同対応に出なければならない。海軍力強化も必須だ。今回の補正予算で韓国政府が消費クーポンにばら撒く13兆2000億ウォンという資金があれば、最新鋭イージス艦「正祖大王」を10隻も建造することができると論じられている。何よりも黄海主権を守るという国家的意志が重要だ。
ところが3日、国会が「中国の黄海構造物設置糾弾決議案」を通過させる時、汎与党圏で7人も棄権票を入れた。共に民主党の金永培(キム・ヨンベ)・李奇憲(イ・ギホン)・洪起元(ホン・ギウォン)、祖国革新党の申荘植(シン・チャンシク)、進歩党孫率(ソン・ソル)・全鍾徳(チョン・ジョンドク)・尹鍾五(ユン・ジョンオ)議員だ。一般国民でもなく、国会議員がこのような考えであるとは、黄海主権を心配しないわけにはいかない。
結論:高まる黄海主権の重要性
中国による黄海での一方的な構造物設置は、韓国のEEZおよびPMZにおける主権に対する明確な挑戦であり、将来的な安保上の深刻な脅威となる可能性がある。これは国際法を無視した行動であり、南シナ海で見られる中国の海洋進出戦略の一環とみられる。韓国政府は、この脅威に対して、国際社会との連携、海軍力の強化、そして国内における強い意志の表明を含む断固たる長期的な対応をとる必要がある。
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