【米テキサス州カービル=後藤香代】米南部テキサス州を襲った大規模洪水で最も被害が集中したカー郡に10日、記者が現地入りした。グアダルーペ川沿岸では、氾濫した激流になぎ倒された無数の木々が見渡す限り続き、洪水のすさまじい破壊力を物語っていた。
テキサス州カービルで大規模洪水によりなぎ倒された木々
州全体での死者数は少なくとも121人に上り、うち36人の子供を含む96人がカー郡で犠牲となった。さらに州全体で160人以上が行方不明となっており、被害は今後さらに拡大する可能性が高い。
郡庁所在地カービルの市街地を流れるグアダルーペ川は、4日未明からの記録的豪雨で水位が急激に上昇し、川沿いのキャンプ場で就寝中の人々を急襲した。カービル近郊イングラムのキャンプ場には、洪水により大破した多数のキャンピングカーが手つかずのまま残されていた。
テキサス州イングラムのキャンプ場で洪水により大破したキャンピングカー
カービル近郊ハントにあるキリスト教系サマーキャンプ「キャンプ・ミスティック」では、約750人が参加中に洪水に見舞われた。このキャンプからは子供5人とスタッフ1人の計6人の行方が依然として分からず、懸命な捜索活動が続いている。この洪水で命を落とした8歳のウィン・ネイラーさんの父親は読売新聞に対し、「この悲劇が始まって以来、毎日が深い悲しみと絶望、そして恐怖の中で過ぎている」との声明を寄せた。
テキサス洪水で壊れたキャンピングカー、イングラムのキャンプ場にて
カービルのグアダルーペ川沿いの通りには、洪水犠牲者を追悼するための場所が設けられ、亡くなった人々の写真や多くの花が手向けられている。隣町から訪れたジェラルディン・グラナドさん(49)は、犠牲となった子供たちの魂が安らかであることを願い、静かに祈りを捧げていた。