東シナ海で発生した中国軍機による航空自衛隊機への接近事案に関し、中国国防省は13日、一連の対応は「完全に正当かつ専門的なものだ」と主張する声明を発表しました。これは、最近の日本側による偵察飛行が事案の原因にあるとするものです。この接近は日中間の緊張を高める出来事として注目されています。
中国国防省の主張とその背景
中国国防省報道官は、日本側が東シナ海の公海上空で頻繁に実施している偵察飛行活動が今回の接近事案を引き起こした直接的な背景にあると強調しました。中国側は、自国の正当な安全保障上の懸念に基づき、必要な措置を取ったのであり、その行動は国際法および関連規定に完全に則ったものであり、一切の問題はないとの立場を強く示しました。中国は自国の主権と安全保障上の利益を断固として守る意向であることを改めて表明しています。
中国国旗、日中軍事問題に関するニュース背景
一方で、中国国防省の声明は対話の可能性も示唆しており、「我々は日本と中国が互いに歩み寄り、両国関係の安定的な発展に向けた良好な雰囲気を作り出すことを望む」とも述べられています。これは、軍事的な対応を正当化しつつも、外交的な解決や関係悪化の回避を望む姿勢の表れとも解釈できます。
日本防衛省による「特異な接近」の発表
この中国側の声明に先立ち、日本の防衛省は10日、東シナ海の国際空域で警戒監視任務にあたっていた航空自衛隊の情報収集機が、9日および10日にかけて中国軍の戦闘爆撃機から「特異な接近」を受けたと公表していました。防衛省は、この接近行為を偶発的な事故につながりかねない危険な行動とみなし、外交ルートを通じて中国側に厳重に抗議を行ったことを明らかにしています。
東シナ海での自衛隊機への接近に関与した可能性のある中国軍JH-7戦闘爆撃機
日本政府は、自衛隊機による警戒監視活動は国際法に合致した正当なものであり、中国側の主張は受け入れられないとの立場を取っています。
事案の背景と今後の展望
今回の事案は、東シナ海における日本と中国の軍事活動の活発化と、それに伴う緊張関係を改めて浮き彫りにしました。日本は中国の海洋進出や偵察活動を警戒し、警戒監視を強化しています。一方、中国は日本の活動を自国の安全保障に対する脅威と見なす傾向にあります。
中国側が今回の接近を「正当」とし、日本側が「特異な接近」として抗議している現状は、両国の認識の大きな隔たりを示しています。このような状況下では、偶発的な衝突のリスク管理が日中関係における喫緊の課題となります。中国国防省が示した関係安定化への期待は、今後の外交的な対話を通じて緊張緩和が図られる可能性もわずかに残していると言えますが、当面は東シナ海での両国軍の活動に注目が集まるでしょう。
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