トランプ米大統領の再任半年:急進する「米国第一」政策と社会への影響

トランプ米大統領は就任から半年を迎える。彼が宣言した「米国の黄金時代」の実現に向け、不法移民対策、貿易政策の変革、そして多様性推進の撤回など、多岐にわたる分野で急進的な政策を推進し、内政、外交に大きな変化をもたらしている。支持者はこれに歓喜する一方、国内の社会的分断は一層深まり、新たな課題も山積している。

トランプ氏は第1次政権時(2017~21年)にも「米国第一」を掲げ、既存政治の転換を図ったが、今回の政権運営はさらに加速し、その方針は一段と先鋭化しているのが特徴だ。

再任半年を迎え、主要政策を推進するトランプ米大統領再任半年を迎え、主要政策を推進するトランプ米大統領

国境管理の厳格化と不法移民対策

トランプ政権が最も重視する不法移民問題では、国境管理の厳格化を徹底し、不法入国者の流入阻止に注力している。不法滞在者の取り締まりを強化し、軍用機まで活用して本国への送還を加速させており、強硬な姿勢が鮮明だ。

保護主義の加速と貿易政策の転換

経済と製造業の再建を掲げるトランプ大統領は、「米国は貿易で外国に食い物にされてきた」という独自の貿易観に基づき、保護主義を一層加速させている。ほぼ全世界からの輸入品に対し追加関税を課すことで、国際貿易秩序に大きな波紋を広げている。

DEI推進策の廃止と大学への影響

バイデン前政権が推進した多様性・公平性・包括性(DEI)を重視する施策は、各省庁で次々と廃止されている。この動きは名門大学にも及び、リベラルな大学運営に対し、是正を求める圧力が強まっている。これは米国社会の価値観を巡る対立を浮き彫りにしている。

政策成果と世論の評価

半年の政権運営における成果は、依然として道半ばにある。貿易協議における具体的な合意例は少なく、和平仲介を目指すロシアによるウクライナ侵略の停戦は依然として遠い状況だ。就任6カ月後の世論調査では、第1次政権時の支持率39.7%、不支持率55.8%に対し、第2次政権では支持率45.8%と相対的に高く、不支持率も51.5%と低く出ており、一定の支持を維持していることが示されている。

トランプ米大統領の再任半年は、既存の政治・社会規範を大きく揺るがす「米国第一」政策のさらなる急進化を印象付けた。強硬な国内政策と保護主義的な外交姿勢は、支持者の熱狂を呼び起こす一方で、社会の分断を深め、国内外に解決すべき課題を残している。今後の政権運営は、これらの課題にどのように向き合っていくかが注目される。

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