韓国市民団体「反日行動」、平和の少女像前での約10年間の野宿抗議を終了

【ソウル発 KOREA WAVE】韓国の市民団体「反日行動」は7月19日、ソウル市鍾路区の旧日本大使館前に設置されている「平和の少女像」前で継続してきた野宿による抗議活動を中止すると発表しました。2015年12月の活動開始から3490日、約10年間にわたる長期抗議の撤収となります。

「反日行動」は、当時の朴槿惠(パク・クネ)政権が推進した日韓慰安婦合意への反発を機に、野宿抗議を開始しました。この合意は、元慰安婦への支援と日韓関係の改善を目指すものでしたが、被害者中心主義に反すると批判の声が上がっていました。

活動家らは19日、今回の野宿抗議中断について「むしろ怒りが込み上げる」と心境を語りました。彼らは「政権が交代しても、戦争に反対し平和を志向する反日行動に対する弾圧はより強まっている」と主張。また、「いまだに韓国では国家保安法の撤廃や帝国主義打倒といったスローガンを掲げることが、利敵行為と見なされる監獄のような社会であることを痛感している」と、韓国社会における表現の自由と国家保安法の問題を訴えました。

今回の発表に先立ち、ソウル警察庁公安捜査課は6月26日、「反日行動」代表を国家保安法違反の疑いで自宅付近で逮捕し、取り調べを行いました。代表は同日中に釈放され、警察関係者は「拘束令状を請求するほどの事案とは見なさなかった」と説明しています。警察は、「反日行動」が「民衆民主党」の傘下団体であるとみています。この民衆民主党も、2016年からソウルの米国大使館前で在韓米軍撤退などを訴える一人デモを続けてきましたが、同日をもって活動の中止を決定しました。

約10年間にわたる象徴的な抗議活動の終了は、日韓関係の文脈だけでなく、韓国国内における市民運動と国家保安法の問題、そして表現の自由を巡る議論に新たな局面をもたらすものとみられます。

韓国ソウル、平和の少女像前で最後の集会を行う市民団体「反日行動」のメンバーたち。野宿抗議の終了を告げる。韓国ソウル、平和の少女像前で最後の集会を行う市民団体「反日行動」のメンバーたち。野宿抗議の終了を告げる。

参考文献