参議院選挙の投開票日が間近に迫る中、日本社会における「外国人受け入れ」を巡る問題が大きな争点として浮上しています。この議論の中で、特に支持を急速に拡大しているのが、「日本人ファースト」という政策を掲げる参政党です。このような情勢の中、TBSのニュース番組『報道特集』でのキャスター山本恵里伽アナウンサーの発言が、社会的な波紋を広げ、大きな注目を集めています。
山本アナの発言が引き起こした「偏向報道」論争
問題となったのは、7月12日に放送された『報道特集』の終盤における山本恵里伽アナウンサー(31)のコメントです。山本アナは視聴者に対し、次のように語りかけました。「実際、外国籍の人とまったく関わらずに生活している人って実はほとんどいないと思うんです。学校の友達だったり、職場の同僚だったり」「自分の一票がひょっとしたらそういった身近な人たちを脅かすものになるかもしれない。これまで以上に想像力を持って投票しなければいけないなと感じています。」
この発言に対して、視聴者からは「特定の政党への投票をためらわせる意図があるのではないか」との声が殺到し、SNS上でも活発な議論が巻き起こりました。さらに、今回の争点に深く関わる参政党は、この発言を「不当な偏向報道」であると強く抗議する事態にまで発展しました。この一連の騒動は、メディアの報道姿勢と政治的公平性について、改めて社会に問いかける形となりました。
フィフィ氏が語る「日本人ファースト」と国民の危機感
この騒動に対し、エジプト出身のタレントでコメンテーターとして活躍するフィフィ氏(49)は、自身の見解を示しました。フィフィ氏はまず、現在の日本においてオーバーツーリズムや外国人による事件などのニュースが連日報じられている状況に触れ、「それに危機感を抱くのは当然のこと」と述べました。国の安全保障に関わる問題でさえ、政府の対応が不十分であることへの国民の怒りも大きいと指摘。
このような背景から、「日本人ファースト」という言葉について賛否両論が巻き起こるのは自然な現象であるとしながらも、マスメディアがこの概念を批判する際には、その議論が本来の内容から逸脱しているように感じるとの疑問を呈しました。フィフィ氏の見解は、国民が抱く率直な懸念と、既存メディアの報道姿勢との間に存在する乖離を浮き彫りにしています。
SNS時代における「オールドメディア」と有権者の情報行動の変化
フィフィ氏は、現代においてSNSを主要な情報源の一つとしている人々は、もはやテレビを唯一の情報収集ツールとは見ていないと強調します。こうした情報環境の変化の中で、テレビからの特定の発言が「偏向報道ではないか」という疑問を生み、一部の層からの反発を招くのは当然の反応だと分析しました。
テレビが「オールドメディア」と呼ばれるようになって久しい今日、特に若い世代は、情報収集の選択肢が格段に増えています。彼らは「必ずしもSNSがすべて正しいわけではない」と理解しつつも、多様な情報の中から自身で取捨選択を行っています。そして、熟考の末に「『日本人ファースト』という考えは間違っていないのではないか」と判断し、投票行動に移そうとしている時に、テレビからその意見を弾圧するかのような発言が飛び出すことは、多くの人々に違和感や不快感を与える結果となったのです。フィフィ氏は、この違和感が山本アナ個人への批判として向けられたと見ています。
参院選が浮き彫りにした「旧体制vs新メディア」の構図
今回の参議院選挙では、「外国人の受け入れ」を巡る議論がきっかけとなり、既存の体制(旧体制)への反抗心が露わになったとフィフィ氏は分析します。これは必ずしも外国人に対する感情だけではなく、政府への不信感や既存メディアに対する反発といった形で顕著に現れました。
フィフィ氏は、この状況を「SNSなどの新たなメディア vs オールドメディア」という対立の構図が徐々に形成されつつあると表現しています。フィフィ氏は参政党を支持しているわけではないとしつつも、「一石を投じた」存在であると評価しています。テレビとは異なる場所、すなわちSNSで勢いを増し、力をつけてきた政党の台頭は、どのような政党であれ興味深い結果をもたらす可能性があると述べています。情報の真偽を見極める「リテラシー」という観点から別の議論があることは当然としながらも、今回の選挙は、有権者の情報源が大きく変化したことを示す象徴的な出来事であったと締めくくりました。
山本恵里伽アナウンサーの発言を巡る一連の騒動と、それに対するフィフィ氏の見解は、現代日本における政治的議論、メディアの役割、そして国民の情報行動の変化が複雑に絡み合っている現状を浮き彫りにしました。今回の参院選は、単なる政策選択以上の意味を持ち、情報社会における「信頼」のあり方を問い直す契機となったと言えるでしょう。
参考文献:
- NEWSポストセブン (2025年7月20日). 「山本恵里伽アナ、参院選直前に「特定の政党への投票ためらわせている」発言が波紋…参政党は猛抗議」. Yahoo!ニュース.
https://news.yahoo.co.jp/articles/e5a34a60ff52dc93d231a9e85893b5983088268f