『時計館の殺人』実写化決定!Hulu『十角館』の成功が示す綾辻行人ミステリーの深淵

日本ミステリー文学界の巨匠、綾辻行人の代表作『館』シリーズが、映像化不可能と謳われた傑作ミステリー小説の実写化で新たな歴史を刻んでいます。2024年に配信されたHuluオリジナルドラマ「十角館の殺人」は、その高い完成度と原作への忠実性で国内外から絶賛を博しました。そしてこの度、シリーズ実写映像化第2弾として、Huluオリジナル「時計館の殺人」の2026年2月独占配信が決定。本記事では、その成功の軌跡と、「時計館の殺人」への高まる期待の理由を深掘りしていきます。

映像化不可能を覆した傑作「十角館の殺人」の実績

綾辻行人氏が手掛ける『館』シリーズは、日本のみならず世界中のミステリーファンを魅了し続けています。これまでに9作が発表され、全世界での累計発行部数は750万部を超えるという驚異的な数字を誇ります。その中でも特に、シリーズの原点にして長年「映像化不可能」とされてきた第1作『十角館の殺人』が、Huluオリジナルドラマとして実写化されたことは、まさに画期的な出来事でした。

Huluオリジナルドラマ「十角館の殺人」の異例の成功

2024年にHuluで独占配信が開始された「十角館の殺人」は、配信わずか1週間でHuluの累計視聴総合ランキング1位を獲得し、2024年度のHulu年間視聴ランキング「Huluオリジナル部門」でも堂々の1位に輝きました。その評価は国内に留まらず、全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)が主催する「第40回ATP賞」ドラマ部門で奨励賞を受賞、さらにアジア最大級の番組アワードである「第29回アジア・テレビジョン・アワード」のドラマ・シリーズ部門にノミネートされるなど、国際的な舞台でも高い評価を得ています。

本作最大の魅力は、綾辻ミステリーの真骨頂である全編に仕掛けられた巧妙な“叙述トリック”と、“あの1行”の衝撃を、緻密な映像描写で見事に表現した点にあります。原作ファンからは「原作を忠実に再現している」と絶賛され、また原作未読の視聴者も引き込む完成度の高さが評価されました。この成功を受け、2024年10月3日(金)にはBlu-ray(初回生産限定)の発売も決定しており、さらに多くの視聴者がこの傑作を体験できる機会が広がります。

1986年の時代設定にこだわった映像化の真意

「十角館の殺人」の舞台は1986年の角島。十角形の奇妙な外観を持つ“十角館”が佇むこの島で、K大学ミステリ研究会のメンバー7人が訪れるところから物語は始まります。一方、本土では、元ミス研メンバーの江南孝明(奥智哉)のもとに、死んだはずの建築家・中村青司(仲村トオル)から手紙が届き、島田潔(青木崇高)と出会い事件の核心に迫っていきます。

実写ドラマの制作にあたり、特筆すべきは、原作通りの1980年代という時代設定を厳守した点です。原作者の綾辻行人氏自身が「1986年という時代。それだけは変えないでください」と強く要望したと語るように、当時の時代背景をそのままに映像化することには深い意味がありました。ミステリー作品において、時代設定を現代に変えると、その辻褄を合わせるために物語の根幹を変える必要が生じることがあります。「ミステリーはフェアでなくてはならない」という綾辻氏のこだわりが、映像作品でも見事に表現されている点は、多くのミステリーファンを唸らせる要因となりました。

シリーズ第2弾「時計館の殺人」への高まる期待

「十角館の殺人」の成功を受け、次なる実写化の舞台となるのは、Huluオリジナル「時計館の殺人」です。2026年2月より独占配信されるこの作品は、『館』シリーズ第5作目にあたり、1991年に発表された上下巻からなる傑作長編で、1992年には「第45回日本推理作家協会賞」を受賞しています。

物語の舞台とキャスト・スタッフの再集結

『時計館の殺人』は、“十角館の惨劇”から数年後が舞台となります。出版社に就職した江南孝明は、推理作家としてデビューした鹿谷門実(島田潔)を訪ねます。江南はオカルト雑誌の新米編集者として担当企画の“交霊会”に参加するため、再び中村青司が設計した“時計館”へ向かうことを鹿谷に伝えます。数日後、時計館を訪れた江南たちでしたが、交霊会の夜、メンバーの一人が忽然と姿を消し、仮面をかぶった何者かが江南たちを襲うという、さらなる謎が深まる事件が勃発します。一方、館の外では、鹿谷が時計館の主人が遺した“沈黙の女神”の詩の謎を追うことになります。

Huluオリジナルドラマ「時計館の殺人」では、前作「十角館の殺人」に続き、江南孝明役の奥智哉と島田潔役の青木崇高が再び同役を演じます。内片輝監督をはじめ、前作を成功に導いた複数のスタッフも再集結。原作者の綾辻氏も「『十角館』とはまた違った難題がたくさん待ち受けていそうですが、内片監督のことだから今度もきっと見事にクリアしてくれるだろう、と期待しています」とコメントを寄せており、その期待は最高潮に達しています。

Huluオリジナルドラマ『時計館の殺人』で主要キャストを務める奥智哉(左)と青木崇高(右)。綾辻行人ミステリーの世界観を表現。Huluオリジナルドラマ『時計館の殺人』で主要キャストを務める奥智哉(左)と青木崇高(右)。綾辻行人ミステリーの世界観を表現。

再び挑む“映像化不可能”への挑戦

シリーズの中でも特に評価の高い長編でありながら、“映像化不可能”とまで言われてきた『時計館の殺人』。前作でそのジンクスを打ち破ったスタッフ・キャスト陣が再び集結し、今度はどのような独創的な工夫を凝らしてこの複雑な物語を映像化するのか、ミステリーファンのみならず多くの視聴者の注目が集まります。

まとめ

綾辻行人氏の『館』シリーズは、その唯一無二の世界観と緻密なプロットで、長年にわたり読者を魅了してきました。Huluオリジナルドラマ「十角館の殺人」は、その映像化不可能とされた壁を見事に乗り越え、国内外で高い評価を獲得しました。この成功を土台に、続く「時計館の殺人」では、再び奥智哉と青木崇高をはじめとする強力なキャスト・スタッフ陣が再結集し、新たな“映像化不可能”への挑戦に挑みます。日本のミステリー界の金字塔を打ち立てるこのシリーズ実写映像化第2弾は、2026年2月の配信開始に向けて、ますます期待が高まるばかりです。


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