韓国の趙顯(チョ・ヒョン)外交部長官が就任後初めて、他国の外交首脳との電話会談を日本の岩屋毅(いわや たけし)外相と行いました。今回の会談は、日韓関係の安定的な発展と、日米韓三カ国の協力深化に向けた両国の共通認識を再確認する機会となりました。
趙顯外交部長官の就任式での挨拶(ソウル鍾路区、2025年7月21日)
趙顯長官と岩屋外相、日韓・日米韓協力の重要性を確認
外交部によると、趙顯長官は24日に行われた岩屋外相との電話会談で、「韓日・韓米日協力は、韓米同盟と並ぶ我が政府の実用外交の中心軸である」と述べました。さらに、「両国国民の相互友好的な認識を土台に、より強固で成熟し、未来志向的な韓日関係を築いていくために共に努力したい」との意向を表明しました。
これに対し、日本の岩屋外相は「今年、日韓国交正常化60周年を迎えるにあたり、日韓関係の安定的発展と日米韓協力の深化に向けて、今後も引き続き緊密に協力していきたい」と応じました。両長官は、地域およびグローバルな情勢への対応において、両国が多様な分野で協力を継続する必要があるとの認識で一致しました。また、首脳間のシャトル外交はもちろん、長官間でも緊密に意思疎通を図っていくことで合意しました。
日本外務省の発表と北朝鮮問題への連携
日本外務省も同日、報道資料を通じて今回の会談に言及しました。両国の外相が「現下の戦略環境下における日韓関係、日米韓の連携の重要性について認識を共有するとともに、日韓関係を安定的に発展させていくことを確認した」と発表。さらに、岩屋大臣からは、核・ミサイル問題および拉致問題を含む北朝鮮への対応についても、引き続き緊密に連携して対応していきたいとの発言があったと伝えられました。
異例ではない「初の日本外相会談」の背景
今回の電話会談が、趙顯長官にとって外交部長官就任後、初の他国外交首脳との接触となったことは注目されます。通常、韓国の外交部長官は就任後最初に米国務長官と挨拶を交わす慣例がありますが、日本側と先に通話を行うことも過去に例があり、特に異例というわけではありません。例えば、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の康京和(カン・ギョンファ)長官や、朴槿恵(パク・クネ)政権時代の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官も、就任後最初に電話会談を行った相手は日本の外相でした。
今回のケースも、日本との電話会談の日程が先に調整されたため、あえて挨拶を遅らせる必要はないと判断されたようです。趙長官は来週、米国訪問を予定している関係で、マルコ・ルビオ米国務長官との電話会談は行わない可能性が高いとされています。また、中国共産党中央外事弁公室の王毅(ワン・イー)主任(外交部長兼任)との電話会談の日程も調整中とのことです。
ロシア外相との慣例会談の中止
一方で、過去には韓国の外交部長官が就任すると、ロシアの外相とも電話会談を行う慣例がありました。しかし、ロシアが2022年にウクライナに侵攻して以降、この慣例は行われていません。
結び
趙顯外交部長官の就任後初の電話会談相手が日本の岩屋外相であったことは、日韓関係の安定化と、地域安全保障における日米韓協力の推進に対する両国の明確な意志を示すものと言えます。今後も、両国間での緊密な外交的連携が継続され、多岐にわたる課題への共同対応が進められることが期待されます。
参考文献
- 韓国外交部
- 日本外務省
- 聯合ニュース (https://news.yahoo.co.jp/articles/5c2a621f0e96ec646b54c81c94570e40f01723c7)