ハリウッドを代表する名優トム・ハンクスとリタ・ウィルソンの長男、チェット・ハンクス(34)が、自身の幼少期に経験した知られざる苦悩を明かした。有名人の子どもとして育った彼が抱いた「無価値感」は、多くの人々が想像する華やかな生活とはかけ離れたものだった。
俳優トム・ハンクス氏のポートレート(2010年撮影)
チェット・ハンクスは、俳優業とミュージシャンとしての活動を両立させている。両親が1988年に結婚し、その長男として生まれた彼は、映画『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』や複数のテレビドラマにも出演してきた。最近、MTVの番組『Surreal Life: Villa of Secrets』で自身の子ども時代を振り返り、スーパースターの息子であることへの世間の反応に戸惑っていたと語った。
彼は「トム・ハンクスの子どもだから、さぞかし自信に満ち溢れて育つと思われていた。しかし実際は、『自分は完全に無価値なんだ』と感じながら育った」と率直に告白した。
この感情が両親のせいではないことをチェットは強調する。むしろ、見知らぬ人々の視線が状況を複雑にしたという。「自分が親より優れていると思っていると思われがちだったが、そんな意図は全くなく、ただ友達として普通に扱われたかった。どうすればいいのか途方に暮れる、価値観を覆すような衝撃だった」と語った。
こうした経験は彼に深い精神的影響を与えた。「ネガティブな感情をすべて内面化し、自分は無価値だと思い込んでしまった。外に出て相手の目を見て『チェットだ』と言うだけでも、私にとっては精神的、感情的に大きな闘いだった」と、幼い頃からの内面の葛藤を明かした。
また、チェットは過去に薬物やアルコール依存症に苦しんでいたことを告白している。『Page Six』によると、16歳の頃から薬物依存と闘い、2014年末にはリハビリ施設に入っていたという。現在、彼は10年近く断酒を続けており、同じ問題に悩む人々に対し、「まずは誘惑の多い環境から自分を遠ざけること」とアドバイスしている。
回復を遂げたチェット・ハンクスは、新たな気持ちで俳優業に加えて音楽活動にも力を入れている。彼の今後の活躍、そして自身の経験を基にしたメッセージが、多くの人々に勇気を与えることに期待が寄せられる。