コンスタンス・マーテン被告とマーク・ゴードン被告、生後間もない娘の過失致死で有罪評決

英国で注目を集めた乳児ビクトリアちゃんの死亡事件で、その両親であるコンスタンス・マーテン被告とマーク・ゴードン被告は先週、過失致死罪で有罪評決を受けました。家庭裁判所の判事からは、二人が「愛情深く親身な態度」で子どもに関わることも可能であったとの見解が示されていたにもかかわらず、この悲劇は、互いへの執着と外部への不信からわが子の世話を怠った結果として浮き彫りになりました。本件は、マーテン被告の特権的な生い立ちとゴードン被告の凶悪な過去という対照的な背景が、英国社会の大きな関心を集めています。

コンスタンス・マーテン被告とマーク・ゴードン被告が法廷で並ぶ姿。生後間もない娘ビクトリアちゃんの過失致死罪で有罪評決を受けたカップル。

悲劇に至るまでの捜索と逮捕の経緯

生後間もないビクトリアちゃんの遺体は、2023年3月1日に廃屋内の買い物袋から発見されました。その2日前、両親であるマーテン、ゴードン両被告は53日間にわたる全国的な大規模捜索の末に逮捕されていました。二人は生まれたばかりのビクトリアちゃんを連れて英国内を転々と移動し、最終的には当局の目を逃れるため、厳冬の中、テントで寝泊まりする生活を送っていました。ロンドン警視庁の声明によると、二人は過去に4人の子どもが保護され里親に出された経験から、ビクトリアちゃんも奪われることを恐れていたとされています。この異例の事件は、その経緯と両被告の特異な背景から、英国社会を大きく揺るがしました。

裕福な生い立ちと凶悪な過去：２人のプロファイル

38歳のコンスタンス・マーテン被告は、王室とのつながりを持つ裕福な貴族の家庭に育ちました。私立学校での教育を受け、アフリカ各地を旅した経験があり、中東の衛星放送局アルジャジーラで記者としても働いた経歴を持ちます。英PAメディアの報道によれば、マーテン被告は2014年にロンドンの香店で、後に「心の伴侶」と呼ぶマーク・ゴードン被告と出会い、検察によると2016年から交際が始まりました。一方、51歳のマーク・ゴードン被告はマーテン被告より13歳年上です。法廷文書には、10代の頃に「深刻な性暴力を含む重大な前科」があると記されています。フロリダ州の裁判所の詳細な記録によると、ゴードン被告は1989年に武装性的暴行、武装拉致、拉致、凶器を用いた強盗の罪で有罪判決を受け、22年間の服役を経て2010年に出所したとPAメディアは報じています。

権威への不信と子どもの命を軽視した関係

ビクトリアちゃんの遺体発見前に作成されたロンドンの家庭裁判所の文書からは、マーテン被告とゴードン被告の間に家庭内暴力が存在したことも明らかになっています。マーテン被告が第3子を妊娠中だった2019年には、ゴードン被告が彼女に「重傷」を負わせ、医療処置を一切求めず「彼女と胎児の命を危険にさらした」とされています。二人は権威に対して強い反感を抱いており、子どもたちの健康状態に対する懸念が表明されたにもかかわらず、児童保護当局の介入を繰り返し拒否しました。2022年1月、判事は、二人が自分たちの関係を最優先するあまり、子どもの健康を含む「他の全ての重要な事柄」を軽視していると認定し、それまでの4人の子どもを当局の保護下に置くよう命じました。そして、マーテン被告が第5子であるビクトリアちゃんの出産を控えていた2022年12月下旬、二人は当局の監視から逃れるように行方をくらましたのです。

今回の有罪評決は、両被告が自身の関係を優先し、子どもへの責任を放棄した結果として生じた悲劇的な結末を示しています。この裁判は、親の責任と、当局による児童保護の重要性を改めて社会に問いかけるものとなりました。量刑は年内に言い渡される見通しです。

参考文献