7月28日に開催された自民党の両院議員懇談会は、石破茂総理（68）への退陣要求が相次ぐ異例の展開となりました。しかし、懇談会終了後も石破総理は続投の意欲を改めて表明し、その強気の背景には世論調査での比較的低い「辞めるべき」という声や、SNSで話題の「石破やめるな」デモの存在があるかもしれません。一方で、肝心な党内では「仲間」がほとんどいない「四面楚歌」の状況にあり、与党内の権力闘争が激しさを増しています。
石破総理の表情。相次ぐ退陣要求に直面しながらも、続投の意向を示している
相次ぐ退陣要求：党内の圧力と「スリーアウトチェンジ」論
両院議員懇談会に先立ち、ある自民党の重要閣僚経験者は、石破総理に対し「執行部をまったくいじらないで乗り切るのは不可能だ」と助言を与えたといいます。石破総理は「わかっとる、わかっとる……」と応じたものの、懇談会では森山裕幹事長（81）が参院選の敗因分析をまとめた後、引責辞任の可能性を示唆するに至りました。
しかし、これで退陣論が収まる気配は全くありません。党内では、茂木敏充前幹事長が衆院選、都議選、参院選での連続惨敗を受け、「スリーアウトチェンジの状態だ」と石破政権の退陣を公に要求。石破総理を嫌悪する麻生太郎最高顧問も、続投を容認しない意向を周囲に示しています。懇談会においても、発言者の大半から退陣論が噴出し、昨年の総裁選に出馬した小林鷹之元経済安保相も「責任の取り方についてしっかり考えてほしい」と石破総理の責任を追及しました。若手・中堅グループによる署名集めの動きもあり、執行部は人事などの議決権を持つ両院議員総会の開催を検討しています。自民党青年局や各都道府県連からも退陣要求が相次ぎ、石破総理はまさに党内で孤立を深めています。
石破総理の「強気」な姿勢の根拠
こうした厳しい状況にもかかわらず、石破総理は依然として“強気”な姿勢を崩していません。トランプ政権との関税交渉に一定の目途が立ったことを引き合いに出し、「（関税合意の実行など）果たすべき責任を果たしたい」と語るなど、続投への強い意欲を示しています。
この石破総理の姿勢について、自民党の西田昌司参院議員（66）は筆者の取材に対し、石破総理が参院選の敗因を安倍派をはじめとする自民党派閥の裏金事件に起因すると考えている可能性を示唆しました。その上で、自民党への不信の元凶である旧安倍派などから退陣を要求される筋合いはない、と考えているのではないか、と分析しています。石破総理の中では、すべての判断が合理的であるにもかかわらず、それが周囲に評価されないという、もどかしさがあるのかもしれません。
総理官邸前で「石破やめるな」と書かれたプラカードを掲げ、石破総理の続投を求めるデモ参加者たち
世論と党内の乖離：孤立を深める石破総理
しかし、西田議員は続投はあり得ないという厳しい見方を示しています。石破総理自身が過去に、第一次安倍政権や麻生政権下において、時の総理に対し選挙での結果責任を常に求めてきた人物であり、「自分だけ例外というのは通用しない」と指摘。さらに、「民信なくば立たず」という言葉を引用し、国民からの信頼を得るためには謙虚に結果を受け入れ、自身の身の処し方を判断すべきだと強調しました。
石破総理が世論調査の結果や一部のデモを拠り所にしようとしている一方で、党内の主要な勢力からの退陣要求は日増しに強まっています。この党内と世論の乖離は、石破総理の孤立をさらに深める要因となっており、今後の政局の行方が注目されます。
Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/c7e54e91679c073e7a29b284787cb96549ec9bce
