参院選での与党大敗後、石破茂首相の去就を巡る報道が活発化している。7月23日昼、読売新聞は「石破首相 退陣へ」と題した号外を配布。これに対し石破首相は即座に記者団に対し、辞任報道は事実ではないと強く否定した。しかし読売新聞は翌日の朝刊でも改めて「退陣へ」と報じ、首相周辺からは「誤報だ」「フェイクだ」と強い憤りの声が上がっている。
読売新聞が明かした詳細な取材過程
なぜこのような報道に至ったのか。読売新聞グループ本社広報部は、首相周辺からの「誤報」や「フェイク」との指摘に対し、次のように回答した。「お尋ねの『石破首相 退陣へ』に関する報道については、取材の結果に基づくもので、『誤報』や『フェイク』との指摘は当たらないと考えております。当社では、参院選で自民、公明両党が敗北し、衆院に続いて参院でも過半数を維持できなかった結果を受けて、首相周辺を取材しました」。
その上で、読売新聞は取材過程について詳細を明らかにした。石破首相は7月22日夜、周辺に対し自身の進退について以下の考えを伝えていたという。第一に、参院選で過半数を維持できなかったため、引責辞任する意向があること。第二に、引責辞任はするものの、日米関税協議の目処がつくまでは対外的に表明できないこと。そして第三に、日米関税協議に関する自身の訪米を含む日米首脳会談の模索が必要な上、重要な外交日程である8月20日から22日の「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」までは続投する可能性があること。読売新聞は、米国との関税交渉の合意が発表された23日にも改めて取材・確認した上で、一連の報道を行ったとしている。
政局の裏側:今後の焦点
今回の退陣報道を巡る攻防は、参院選大敗後の永田町に新たな波紋を広げている。7月30日(水)配信の「週刊文春 電子版」および7月31日(木)発売の「週刊文春」では、自民党内部で蠢く政局の動きが総力取材されている。読売新聞と同様に「退陣へ」と報じた毎日新聞社社長の見解や、首相経験者である麻生太郎氏と岸田文雄氏が狙う「鈴木俊一総裁、玉木雄一郎総理シナリオ」、さらには高市早苗氏を担ぎ出そうとする旧安倍派の動き、そして参院で自公の過半数を回復するための秘策など、今後の日本の政治動向を左右する重要な情報が詳しく報じられる予定だ。
結論
石破茂首相の退陣を巡る報道は、首相自身の強い否定と読売新聞による詳細な取材過程の公表により、複雑な様相を呈している。与党の参院選大敗を背景に、首相の進退問題は単なる報道合戦に留まらず、今後の日本の政局、特に自民党内の権力闘争と深く結びついている。日米関税協議やTICAD9といった国際的な外交日程も絡み、石破首相の決断と与党内の動きから目が離せない状況が続く。