韓国政府が2026年度予算案の編成を進める中、李在明(イ・ジェミョン)大統領が改めて深刻な自殺問題を強調したことで、保健福祉省による自殺予防事業予算の大幅な拡大が注目されています。これは、世界で最も高い水準にある韓国の自殺率を是正するための国家的な取り組みとして、今後の動向が注目されるところです。企画財政省は8月4日に保健福祉省の予算案に対する第2次審議を予定しており、9月2日までに国会へ提出される見込みです。
李在明大統領の一貫した強い意思
李在明大統領は就任当初から一貫して自殺問題に強い言及を続けており、国民の生命を守るという明確な姿勢を示しています。7月25日にはSPC三立の始華工場を訪問し、「韓国は世界でも自殺率が最も高い。たとえ“幸福な社会”でなくとも、不幸のあまり自ら命を絶つことは最小限にすべきだ」と述べ、この問題の重要性を改めて強調しました。さらに、7月5日の安全・治安点検会議や10日の国務会議でも自殺率の高さに対する具体的な対策を強く求めています。
李在明大統領が韓国の自殺問題解決への強い意志を示す様子(2025年7月24日)
金民錫(キム・ミンソク)首相も、7月10日に曹渓宗の総務院長と面会した際、「大統領から“韓国の自殺率の低下を責任もって解決せよ”との指示があった」と明かし、大統領のこの問題に対する強い意志と、政府全体で取り組むべき最重要課題であるという認識を強調しました。
保健福祉省の具体的な動きと閣僚の決意
鄭銀敬(チョン・ウンギョン)保健福祉相も、就任前の国会人事聴聞会で自殺問題を解決すべき最重要課題の一つに挙げ、就任演説では自殺予防政策の強化を公約として掲げました。実際に、7月25日の初の現場視察では、自殺予防相談電話(109)などの関連事業の点検を行い、現場の実情把握と対策強化に向けた具体的な行動を開始しています。これは、保健福祉省が政府の強力な方針を受け、自殺対策予算の拡充に向けて具体的な準備を進めていることを示唆しています。
世界最悪レベルの自殺率:統計が示す現状
保健福祉省の発表によると、韓国における昨年の自殺死亡者数は暫定値で1万4439人に上り、人口10万人あたりの自殺率は28.3人と報告されています。この数値は、韓国が2003年以降、OECD加盟国中で常に最上位レベルの自殺率を記録している現状を改めて浮き彫りにしています。さらに憂慮すべきは、近年では高齢者層に限らず、全ての年齢層において自殺率の増加傾向が見られる点です。これは、単一の世代問題ではなく、韓国社会全体に深く根差した問題であることを示しており、包括的かつ喫緊の対策が求められています。
まとめ
李在明大統領をはじめとする韓国政府全体が、世界最悪レベルの自殺率という深刻な社会問題に対し、これまでにない強い問題意識と解決への意志を表明しています。この強力なリーダーシップのもと、2026年度予算案における保健福祉省の自殺予防事業予算がどこまで増額されるかが、今後の韓国の自殺対策の成否を占う重要な焦点となるでしょう。国民の生命と安全を守るための国家的な努力が、具体的な成果として結びつくか注目されます。
出典:KOREA WAVE/AFPBB News