自民党元幹事長であり、今年6月に政界引退を表明した石原伸晃氏(68)が30日、BS日テレの報道番組「深層NEWS」に出演し、石破茂首相(党総裁)の進退を巡る自民党内の対立状況について深くコメントしました。参院選での大敗にもかかわらず続投の方針を崩さない石破首相に対し、党内からは強い批判が噴出しており、特に28日の両院議員懇談会では、発言した議員の約8割が退陣を求める声であったと報じられています。
参院選大敗後の党内批判と「おしとやかさ」の指摘
若手・中堅議員による「石破降ろし」の勢いが強まるかに見えながらも、その動きは党OBの目には意外なほど「おとなしく」映っているようです。元行政改革担当相の渡辺喜美氏は、自民党内の現状を「随分おしとやか。紳士然としている」と表現しました。石原氏もこの見解に同意し、両院議員懇談会の様子について「私の聞いた方によると、『辞めろ』と直接言った議員は一人もいなかったそうです。『リーダーとしての責任があるんじゃございませんか?国民の声を謙虚に聞かれたらどうでしょう』という、非常に婉曲的な表現だった」と明かしました。石原氏は、このような直接的な退陣要求がない限り、石破首相も続投の意思を変えないのではないかとの見方を示しています。
BS日テレ「深層NEWS」で自民党の石破茂首相を巡る党内対立について語る石原伸晃氏
「石破降ろし」戦略の欠如と若手・中堅議員の動機
石原伸晃氏は、現在の若手・中堅議員が石破首相を退陣に追い込むための明確な戦略を「まだ描けていない」と指摘します。彼らが表立って批判の声を上げにくい理由として、日本の「小選挙区制度」の影響を挙げました。「小選挙区制度によって、『そんなこと言ったら私、次公認ないんじゃないか』とビクビクしてしまう状況がある」と説明し、公認を失うことへの懸念が行動を抑制している現状を浮き彫りにしました。
さらに、石原氏は自身の若かった頃と比較し、「喜美さんや私たちが若い頃と全然違うのは、今の若手は『役職』を欲しがる傾向が強いことだ」と苦言を呈しました。「なんとか委員長が欲しい、なんとか副委員長が欲しい、なんとか副幹事長など、党内の地位を得ることに重きを置いている」と述べ、自身の世代が「国をどうすべきか」を真剣に考えていたこととは対照的であると振り返りました。この世代間の意識の違いが、現在の自民党内における「石破降ろし」の動きが「おとなしく」見える背景にあると分析しています。
結び
今回の石原伸晃氏の発言は、参院選大敗後の自民党が直面する内部対立の深層を浮き彫りにしました。石破首相の続投を巡る批判が高まる一方で、若手・中堅議員が直接的な行動に出にくいのは、選挙制度の特性と役職への強い志向が影響していると分析できます。この構造的な問題は、党のリーダーシップ交代だけでなく、今後の政策決定や党運営にも影響を及ぼす可能性があり、日本政治の動向を注視する上で重要な視点となるでしょう。