藤井聡太王位、千歳で永瀬九段に3連勝 王位戦6連覇へ王手

将棋の藤井聡太王位(23)は、北海道千歳市の「ポルトムインターナショナル北海道」で開催された「伊藤園お~いお茶杯第66期王位戦」七番勝負第3局で、挑戦者の永瀬拓矢九段(32)に快勝。3連勝を飾り、王位戦6連覇王手をかけました。29日午前9時に始まった2日制の対局は、30日午後6時6分、88手で決着しました。

藤井聡太王位が王位戦の千歳対局で永瀬拓矢九段との対戦中に集中する様子。3連勝を飾り、6連覇へ向け優位に立った。藤井聡太王位が王位戦の千歳対局で永瀬拓矢九段との対戦中に集中する様子。3連勝を飾り、6連覇へ向け優位に立った。

試合展開の分析:専門家が語る藤井王位の妙手

本局の鍵は、将棋界で「壁銀が泣いている」と称される永瀬九段の指し手でした。加藤一二三・九段(85)は、永瀬九段が7筋にあった銀を左斜め後ろの8筋に引いた瞬間を、藤井王位が見逃さなかったと指摘します。直後に6筋の歩を突き、初日の封じ手前にすかさず攻めを開始。この疑問手への鋭い仕掛けが、本局のハイライトとなりました。

藤井王位はまさに「機を見るに敏」。一度リードを奪うと、その差を広げ、最終的には圧勝を収めました。加藤一二三・九段は、藤井王位の攻め筋を「針で小さな穴を開け、キリで擦り込み、クギを打ち、最後は大きなクイで壁を崩す」と表現。この巧妙な指し回しこそが、彼の特長であると分析しています。

藤井王位の進化と今後の展望

加藤九段は、藤井王位が今回「後手番角道を止める将棋」を見せたことで、彼の戦術のレパートリーがさらに広がったことに言及しました。今年に入って永瀬九段との七番勝負では、王将戦、名人戦ともに3連勝後、1敗を喫した経験があるものの、今回の王位戦での藤井王位勝ちっぷりは別格と評価しています。

加藤九段は、この勢いから「4連勝で防衛のような気がする」と、藤井王位6連覇への強い期待を示しました。

今回の千歳対局での藤井聡太王位3連勝は、その圧倒的な強さと進化を改めて印象付けました。王位戦6連覇王手をかけたことで、将棋界にまた一つ歴史的な偉業を刻む可能性が高まっています。今後の防衛戦にも注目が集まります。

参考資料