台風9号、関東・伊豆諸島に最接近へ:暴風・大雨・高波に厳重警戒

現在、台風9号が日本の南海上を北上しており、関東地方や伊豆諸島への最接近が間近に迫っています。特に1日(金)夜から2日(土)朝にかけては、沿岸部を中心に雨や風が急激に強まる見込みで、激しい雨や横殴りの雨となる恐れがあります。海上ではうねりを伴った大しけとなる地域もあるため、気象情報の確認と厳重な警戒が必要です。

台風9号の最新情報と今後の進路予測

台風9号は、1日(金)午前6時の時点で、八丈島の東南東およそ220キロの海上を、1時間におよそ15キロの速さで北北西へ進んでいます。この時点で、八丈島はすでに強風域に入っており、風の影響が感じられ始めています。

今後の進路としては、台風9号は1日(金)を通して伊豆諸島の東側を北上し、2日(土)には暴風域を伴ったまま関東の東の海上を通過する見込みです。現時点での予報では、台風が関東に直接上陸する可能性は低いとされていますが、それでも1日(金)夜から2日(土)朝にかけてが、関東地方への最も接近する時間帯となるため、油断はできません。

台風9号の予報円と中心位置を示す日本付近の気象図台風9号の予報円と中心位置を示す日本付近の気象図

関東・伊豆諸島における気象影響の詳細

沿岸部を中心に「横殴りの雨」に注意

1日(金)は、伊豆諸島で雨と風が非常に強まり、荒れた天気となるでしょう。関東地方では、断続的に雨が降り続く予報です。特に午後は、雷を伴って激しい雨が降る地域が出ることが予想されます。

千葉県などの沿岸部では、風が非常に強く吹き荒れるため、雨が横から打ち付けるような「横殴りの雨」となる場所もあるでしょう。1日(金)の夜からは、台風本体の発達した雨雲が沿岸部を中心に広がり、2日(土)の朝にかけて雨と風が最も強まる見込みです。その後、2日(土)の日中には台風が次第に遠ざかり、天気は回復へと向かうと予想されています。

波・風・雨の具体的な予測数値

今回の台風9号に伴い、関東地方と伊豆諸島では以下の気象状況が予測されています。

【波の予想】
伊豆諸島では1日(金)に、関東地方では2日(土)にかけて、うねりを伴い非常に高い波が押し寄せる「大しけ」となる所があるでしょう。

  • 1日(金)に予想される波の高さ:
    • 伊豆諸島: 6メートル (うねりを伴う)
    • 関東地方: 6メートル (うねりを伴う)
  • 2日(土)に予想される波の高さ:
    • 伊豆諸島: 5メートル (うねりを伴う)
    • 関東地方: 6メートル (うねりを伴う)

【風の予想】
伊豆諸島および関東地方の海上では、2日(土)にかけて非常に強い風が吹く所があり、陸上でも強風に注意が必要です。

  • 1日(金)に予想される最大風速(最大瞬間風速):
    • 伊豆諸島: 23メートル(35メートル)
    • 関東地方: 23メートル(35メートル)
  • 2日(土)に予想される最大風速(最大瞬間風速):
    • 伊豆諸島: 20メートル(30メートル)
    • 関東地方: 25メートル(35メートル)

【雨の予想】
伊豆諸島と関東地方では、2日(土)にかけて、台風周辺の発達した雨雲や台風本体の影響で、激しい雨が降り、局地的に大雨となる所があるでしょう。

  • 2日(土)午前6時までに予想される24時間降水量 (多い所で):
    • 伊豆諸島: 100ミリ
    • 関東地方: 100ミリ
  • その後、2日(土)午前6時から3日(日)午前6時までに予想される24時間降水量 (多い所で):
    • 関東地方: 60ミリ

特に、関東地方の海上では2日(土)に暴風に対する厳重な警戒が必要です。また、伊豆諸島と関東地方では、2日(土)にかけてうねりを伴う高波にも警戒し、土砂災害や低い土地の浸水、そして河川の増水にも十分な注意と警戒をしてください。

台風9号による波の高さ、風速、降水量の予測図と数値データ台風9号による波の高さ、風速、降水量の予測図と数値データ

「激しい雨」とは?その危険性と警戒事項

気象庁が定義する「激しい雨」とは、1時間あたり30ミリ以上50ミリ未満の雨量を指します。この雨量は、まるでバケツをひっくり返したかのように土砂降りの状態をイメージさせるもので、傘をさしていても体が濡れてしまうほどの強さです。木造住宅の屋内では、就寝中の人の半数ほどが雨音で目を覚ますほどのレベルとされています。

このような激しい雨が降ると、屋外では道路が川のようになってしまうこともあります。特に高速道路を走行中の車では、タイヤと路面の間に水の膜ができ、ブレーキが効かなくなる「ハイドロプレーニング現象」が発生する恐れがあり、非常に危険です。

激しい雨が予想される地域、または既に降っている地域では、土砂災害、低い土地の浸水、そして河川の増水や氾濫といった重大な災害を引き起こす可能性が高まります。状況に応じて、自治体からの避難情報などにも注意を払い、身の安全を確保するための行動を速やかにとることが重要です。

激しい雨が降り、路面に水たまりができた道路を走る車激しい雨が降り、路面に水たまりができた道路を走る車

今回の台風9号の接近に伴い、関東地方および伊豆諸島では、暴風、高波、そして大雨による災害発生の危険性が高まります。特に2日(土)にかけては、これらの気象現象に対して最大限の警戒が必要です。最新の気象情報をこまめに確認し、不要不急の外出を控えるなど、安全を最優先に行動してください。


参考文献:

  • 日本気象協会 tenki.jp
  • 執筆: 吉田 友海 (日本気象協会 本社)