9.11後のアフガニスタン侵攻:米海兵隊「ブラボー中隊」に下された極秘任務

2001年9月11日、アメリカを襲った同時多発テロは世界に衝撃を与えました。この未曽有の事態に対し、復讐に燃えるジョージ・W・ブッシュ大統領は、アフガニスタンに潜伏するイスラム過激派組織アルカイダの壊滅を目指し、直ちに米軍を派遣しました。当時、海兵遠征隊の少尉であった筆者も、中東へと向かうことになります。ある日突然、旗艦〈ペリリュー〉に呼び出された筆者たちのB(ブラボー)中隊に、大隊の副隊長から告げられたのは、想像を絶する作戦内容でした。

極秘作戦ブリーフィング:アフガニスタン南部侵攻の全貌

副隊長は、招集されたB中隊の隊員たちに「ようこそ、B中隊」と挨拶し、緊張感のある口調で切り出しました。「今から話すことは、この部屋の中だけの話だ。計画を練るのも、理屈をこねるのも、文句を言うのも、この四方の壁の中だけだ――下甲板でも士官室でもジムでも、決して口にするな。分かったか」わたしたちが頷くと、彼は話を続けました。「周知の通り、米国はこの9日間、アフガニスタンに対して空爆を行っている」。副隊長の説明によると、地上部隊としては小規模のCIA部隊と陸軍特殊部隊群が主にアフガニスタン北部に展開している状況でした。しかし、アフガン南部にはまだ地上部隊が入っていませんでした。

副隊長は効果を狙って一呼吸置くと、その沈黙を破り、核心を告げました。「今から、それが変わる。10月19日金曜の夕刻、任務部隊(タスクフォース)ソードがアフガニスタン南部への侵攻任務を遂行し、飛行場を掌握して、高価値目標の敵幹部の捕捉を試みる」。

「ブラボー中隊、それが諸君だ」:突如告げられた「ボールドイーグル」任務

副隊長の言葉に、一瞬の沈黙が部屋を支配しました。そして彼は続けました。「その任務のボールドイーグルを、われわれの大隊から出すことになった」。再び沈黙。その瞬間、ホイットマー大尉、パトリック、そして筆者(編集部注:ホイットマーは中隊長、パトリックは小銃小隊の小隊長、筆者は中隊の重火力を担う火器小隊の小隊長)に、部屋中の注目が集まりました。

「B(ブラボー)中隊、それが諸君だ」。

アフガニスタン侵攻作戦中の米海兵隊員アフガニスタン侵攻作戦中の米海兵隊員

私たち3人は顔を見合わせました。これは、9.11後の米軍による最初期の大規模地上作戦の一つであり、ブラボー中隊は極めて機密性が高く、危険を伴うこの任務の先鋒を務めることになったのです。彼らに託された任務は、アフガニスタンの戦況を大きく左右する可能性を秘めていました。

結び

この極秘任務は、米海兵隊「ブラボー中隊」がアフガニスタン侵攻の最前線に立つ、歴史的な転換点となりました。アルカイダの壊滅を目指すというブッシュ政権の強い意志の下、彼らは未踏の南部地域への侵攻という、極めて困難な試練に直面することになります。この一幕は、戦場の厳しさと、リーダーシップが試される極限状況を鮮明に描き出しています。

参考資料

  • ナサニエル・フィック著、岡本麻左子訳『死線をゆく アフガニスタン、イラクで部下を守り抜いた米海兵隊のリーダーシップ』(KADOKAWA)
  • Yahoo!ニュース / ダイヤモンド・オンライン (元の記事掲載元)