静岡県伊東市では、学歴詐称を理由に一度は辞職を表明していた田久保眞紀市長が、7月31日の会見でその辞意を撤回し、市長続投を宣言する異例の事態が発生しました。この突然の決定は、「新図書館建設中止」や「メガソーラー計画の白紙撤回」といった公約の実現を理由としていますが、市役所には300件を超える苦情や批判のメールが殺到し、市議会では不信任決議の検討が進められるなど、市政の混乱は収まる気配を見せていません。この動きは、市民の間にも大きな波紋を広げています。
伊東市長、学歴詐称問題から一転「続投」へ
学歴詐称問題の渦中にあった伊東市の田久保眞紀市長は、7月31日に突如として辞意を撤回し、続投の意思を表明しました。この決定は、同日朝、市役所に登庁した田久保市長が取材陣の問いかけに無言を貫く中で発表されましたが、その背景にはこれまでの経緯があります。
田久保市長を巡る問題は、市の広報誌に「東洋大学法学部卒業」と記されていた学歴が、実際には「除籍」であったことが判明したことから表面化しました。この問題を受け、田久保市長は7月7日の会見で、「必要な手続きを終え次第、速やかに辞任し、出直し選挙に臨む」と表明していました。しかし、その方針は一転。7月31日の会見では、「道のりは今後大変険しく、いばらの道であることは重々承知している。必ず結果で皆さんにお返しをしていきたい」と語り、謝罪とともに続投への意欲を示しました。
市長が続投を決めた主な理由として挙げたのは、新図書館建設中止やメガソーラー計画の白紙撤回など、自身の掲げた「公約を実現するため」というものでした。さらに、市民からの「頑張ってほしい」「負けないでほしい」「最後までやり遂げろ」といった「応援の声」が寄せられたことも、決断を後押ししたとアピールしました。一部の市民からは、「嘘つきと騒がれてもやる決意は応援できる」「市の仕事をして盛り上げてくれれば学歴は気にならない」といった声も聞かれました。
市民の「応援」と批判の声:深まる市政の対立
しかし、田久保市長の続投宣言に対し、市議会議員からは強い怒りの声が上がっています。伊東市議会の青木副議長は、「市民が誰ひとり幸せになっていない。『田久保劇場』をいつまで続けるのかと落胆している。応援している人などひとりも来ていない。なぜこんな人が政治家をやっているのか憤りを感じている」と厳しく批判しました。
市長が主張する「応援の声」がどれほどのものなのかを探るため、FNNの取材班は伊東市民50人に緊急アンケートを実施しました。その結果、田久保市長を「応援する」と答えた市民はわずか7人にとどまりました。
応援しないと答えた市民からは、「応援したくない。嘘に嘘を重ねている」「辞めてみんなを安心させた方が良い。叩かれても市長をやっても何も進まない」「もう信用できない」「市政が心配だから辞めてほしい」といった厳しい意見が相次ぎました。再選挙による費用負担を懸念する声や、「学歴はどうでもいい」「図書館建設は反対」といった理由で応援する市民もいましたが、大多数は市長の続投に否定的な見方を示しました。この調査結果は、市長が訴える「応援の声」と、市民の間に広がる不信感との間に大きな隔たりがあることを浮き彫りにしています。
結論
伊東市の田久保眞紀市長による辞意撤回と続投宣言は、学歴詐称問題を巡る市政の混乱をさらに深めています。公約実現を理由とする市長の決断は、一部の市民からの支持を得ているものの、市議会や多くの市民からは強い反発を受けています。特に、市民の声の多くが市長への不信感や市政への懸念を示していることは、今後の市議会による不信任決議の動向とともに、伊東市政の不安定さを象徴しています。田久保市長が今後、どのようにして市民の信頼を取り戻し、市政の安定を図っていくのか、その動向が注目されます。
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