【ワシントン=黒瀬悦成】米外交誌「フォーリン・ポリシー」(電子版)は9日、国連安全保障理事会の複数の加盟国が10日に開催を目指していた北朝鮮の人権弾圧に関する会合をトランプ政権が阻止したと報じた。北朝鮮が非核化交渉の停止を示唆するなど強硬姿勢を強める中、米政権が交渉機運の維持を図るため北朝鮮に配慮した可能性があるとしている。
安保理で会合を開くには15理事国のうち少なくとも9カ国の賛成が必要。複数の外交筋が同誌に語ったところでは、米国は当初、他の安保理メンバーに会合の開催を訴え、8カ国の賛同を得た。しかし、土壇場になって米国が態度を変え、理事会に会合の開催が要請されなかった。
10日は「世界人権デー」に当たり、安保理ではオバマ前大統領の提唱により2014年から北朝鮮の人権問題に関する会合が毎年開かれてきた。
ただ、昨年は会合に否定的な中国とロシアに同調する非常任理事国が多く、賛成国が8カ国にとどまったせいで初めて非開催となり、今年再開できるかが注目されていた。
安保理は11日に北朝鮮の核・ミサイル開発に関する会合を開くが、国務省報道官は同誌の取材に、人権問題が何らかの形で討議されるかは明言しなかったとしている。