日本の伝統技術を次世代へと繋ぐ情熱から生まれた、老舗縫製会社・笏本縫製が手掛ける「播州織ダブルガーゼハンカチ」が、驚異的な反響を呼んでいます。初回販売で約1,500枚がわずか1時間半で完売し、再販では特に人気の猫デザインが2分で売り切れるという、まさに想像を絶する事態が発生しました。この成功は、単なるヒット商品に留まらず、倒産寸前だった家業を救い、日本のものづくりに新たな光を灯した復活の物語として注目を集めています。
播州織との運命的な出会い:ネクタイ工場からベビー用品への挑戦
この画期的なプロジェクトの立役者である「しゃく」(@shakunone)さんに、西スポWEB「OTTO!ライフ」が詳細を伺いました。ネクタイ工場として家業を継いだしゃくさんは、ある日、仕入れで見つけた動物柄の播州織生地に心を奪われます。ネタイの縫製には不向きと感じたものの、その極上の肌触りと心和む絵柄は、彼の直感を刺激しました。
ちょうど第2子の誕生を控えていた時期であったことから、「赤ちゃんに安心して使える、肌に優しいハンカチを自分たちの縫製技術で作れないか」という発想が芽生えたといいます。ネクタイ工場とは一見縁遠い素材でありながらも、「思わず笑顔になるものづくり」への揺るぎない確信が、新たな挑戦へと背中を押しました。
驚異の完売劇と顧客・職人の喜びの声
初回販売での圧倒的な反響に続き、多くの要望に応える形で実施された再販でも、特に人気を集めた「猫」デザインはわずか2分で完売するという、異例の事態となりました。購入者からは「全部欲しいです!頑張って下さい」「可愛い!可愛すぎます!」「皆メイド・イン日本を欲してます」「かわいいし、素材もいいし」といった熱烈なコメントが続々と寄せられました。
この熱狂的な支持に対し、しゃくさんは「たくさんの温かい声が届き、ただの〝良いもの〟ではなく、生活の中のやさしい存在として迎えられていることに感動しました」と喜びを語ります。何よりも彼を感激させたのは、この生地を織り上げた職人たちが「自分たちが作った生地がこんなに喜ばれている。また織るのが楽しくなる」と心から喜んでくれたことでした。「MADE IN JAPANに、また小さな火が灯ったような気がしました」と、その感動を明かしています。
メイドインジャパン品質を支える播州織ダブルガーゼハンカチの縫製作業
倒産危機を乗り越え、「作り手の想い」で繋ぐ未来
「ネクタイなんて、もう売れない」「オワコン」といった厳しい言葉に晒され、倒産寸前の危機に瀕していた家業を継いだしゃくさん。不安を抱えながらも「このまま家業を終わらせたくない」という強い気持ちと、長年支えてきた職人たちの存在が彼の支えとなりました。「恥もかいたし、笑われもしました」と、当時の苦境を振り返ります。
「作り手の想いを、ちゃんと伝えたら変わるかもしれない」という一心でSNSでの情報発信を開始。地道な努力の結果、少しずつ共感の輪を広げていきました。「日本製が、欲しい」と思ってもらえるような「ものづくり」への再出発こそが、今回の「播州織ダブルガーゼハンカチ」の成功へと繋がったのです。
伝統と革新が織りなす「日本製」のものづくり:今後の展望
しゃくさんは、「9月には10周年を記念した東京での販売会イベントも開催します。ぜひ、私たちの作る『日本製』に触れていただきたいです」と今後の抱負を語っています。このイベントは、9月5日から7日まで「とっとり・おかやま新橋2階イベントスペース」(港区新橋一丁目11番7号)で開催され、新作レディーススーツのお仕立て(要予約)、ネクタイ・シルクシュシュの販売会(予約不要)、色を選べるオーダーバッグの受付(予約不要)など、多岐にわたる企画が予定されています。
多くの人々を笑顔にし、日本の伝統に新たな光を灯したこの笏本縫製の取り組みは、これからも「日本製、やっぱりいいな」と心から思えるような、価値あるものづくりを追求し続けることでしょう。
参考資料
- 西スポWEB「OTTO!ライフ」記事:日本の伝統素材を使った可愛らしいハンカチに反響続々
- 株式会社笏本縫製 公式ホームページ:https://shakumoto.co.jp/
- SHAKUNONE オンラインショップ:https://shakumoto.co.jp/shakunone-shop/